Valkyrieの人形はプロデューサー (ページ28)

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第二十五話ページ28

「散れ散れ、貴様ら！刀の錆にしてくれようか！」
どこからか美声が聞こえた。武士のような言葉遣い、常刀している刀に手を添え、下手をすれば一気に首を斬られそうだ。
「む、神崎か。助かった」
「礼は無用。我は自分の判断でしたことだ」
勇ましい……。素直にそう感じた。
颯馬くんはやっとのこと刀をおさめ、私と向き合い、真剣な表情をした。
「用向きである、放課後、転校生殿は至急生徒会室に来るようにと蓮已殿から命じられた！」
蓮已殿……敬人さんのことだとそのときわかった。
でも、なんのために……？考えていても仕方がない。いまは、授業に集中することにしよう。ただでさえ、私は遅れているのだから。

時間というのはあっという間で、すでに放課後になってしまった。なんの用事か考えている暇もなく、私は生徒会室へと向かった。ノックをすると、中から「どうぞ」と歌うような、優雅な声が聞こえた。思い切って扉を開けると、中は綺麗に整頓されていていくつかの机が置かれその上には書類が山積みになっていた。目の前にいるのが生徒会長である、天祥院英智さんだろうか。先程の声の主が彼だと思うと寒気がした。周りを見渡すと、真緒くんや他の生徒会役員もいる。会長が口を開いた。
「よく来たね、転校生ちゃん」
にこやかに私を呼んだ会長は優雅だった。
どうやら、私は勝利の余韻にしたるまでもなく、専属する『Valkyrie』のレッスンに付き添う暇もなく、新たな挑戦が待ち受けていた。

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