ちょっとおかしなキミの金銭感覚【九井一】2

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そんなに時間もかからず、向こうから走ってきた見覚えのあるバイクとそれに乗るイヌピーとココ。



「よ、青宗」


「おい！伝説！」


バイクから降りるなり片手を上げているワカさんに詰め寄るココに、久しぶり。と声をかけるワカさん。



「Aまだおでん食ってんの？」


『熱くてなかなか冷めないの』



私の持っているおでんの器の中を覗き込んで言うイヌピーに、まだ湯気の立つおでんを差し出す。



『食べる？』


「いい、あつあつ買ってくるから」



そう言って中に入っていったイヌピーを横目に見送って、餅入り巾着を持ち上げた。



ふぅと何度も息をかけて冷ます私の様子に、頭上からフッと笑い声が聞こえて見上げれば、ココと目が合う。



「お前猫舌？
なのによりにもよって買ったのが大根と餅入り巾着かよ」



そう言いながらしゃがんで私の顔に手を伸ばしたココは、顔の横にかかる髪を耳にかけた。



ココの冷たい手が耳に触れて肩を揺らす。




「お前も青宗も無傷だけど楽勝だったのか？」



自分のおでんの器からちくわを持ち上げて齧り付きながら聞くワカさんに、あー。とそちらを見たココ。



「喧嘩にはならなかった
向こうが降伏した」




「なんだよ
骨のねぇやつだな」



「バチバチだったんだけどな、マイキーの登場で相手も武が悪いと判断したらしい」



マイキーも来たのか！？とワカさんとベンケイさんが声を上げる。



マイキー？と首を傾げた私に気付いたココが、気にしなくていい。と手の甲で頬を撫でた。



「冷えてんな
バイト寒かったのか？」



『へ、あ、ぅ、うん…』



「可愛いサンタがケーキ売ってたぞ」




ほら。と隣からケータイの画面をこちらに向けたワカさんのはニヤリと笑う。



その画面には、サンタ姿でケーキを売る私。



『あぁぁぁああ！？』



「近所迷惑だろ静かにしろ」



そう言いながらパタン。とケータイを閉じたワカさんと、目を大きく見開いているココ。



「ーー…だ」


「ん？」


ココが呟いた言葉に、ワカさんは聞き返した。



「その写真いくらだ」


『待っておかしい』


「言い値で買う」


『ねぇ本人の許可得て』



私の言葉を無視して、いくらだ？と聞くココにワカさんはそれはそれは悪い顔をした。



「非売品だ
欲しけりゃ自分で撮れよ」



「あ？」



えぇ…ここで喧嘩しないでよ！？とオロオロしていると、ワカさんはおでんの汁を飲み干して器をゴミ箱に捨てた。

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