252.悲劇のステージ(ユン・ジョンウ) ページ5
・
「では、2位のナナ練習生です」
「はい」
"もうカンとHomeしか残ってないぞ"
"ナナ兄さんは押し出さなさそう、性格的に"
"自分から一番少ないパートをするくらいですし"
"だったらカンをやるんじゃ?"
"ナナは何を選んでも上手くできるだろうね"
"Homeは……無いだろうな"
"作詞者本人がカバーしたら面白いですけど……"
"でもそれは残酷だよ。だって……"
53位から順番に、人数が埋まっている場合は上位が下位を押し出すことができるという方法で曲決めが始まって。ついにナナの番になると、練習生達はひそひそとそう話した。
「……ナナ、ここには来ないですよね」
「……そうだなあ」
ジェイも聞こえたのだろう、しょんぼりとした顔のジェイの呟きに頷く。ナナがSEVENTEEN先輩の『Home』の作詞を担当していたことはもちろん、ナナが『MUSIC BANK』のMCステージでヨンジュさんとカバーしたことも、それがヨンジュさん生前最後のステージで、ナナにとってもN͜͡umberとして最後のステージだったってことも。おそらくみんな知っている。
たった二人で難易度が高い『Home』のステージを完成させたことはあまりに有名で、このステージはN͜͡umberがただ顔じゃなく実力で人気を勝ち取っていたことを示すものだった。それに加えて、約一ヶ月半後に起きた出来事が、元々の歌詞も相まってこのステージを「悲劇のステージ」としても記憶に残るものにさせた。
『Home』が発表されたとき、ついナナの方を見てしまったけれど、ナナも動揺したのか大きく目を見開いていた。当たり前だと思う。偶然にもあの時と同じ髪色で『Home』に対峙することになったナナの心情は計り知れなくて、自分まで胸が傷んでしまった。
ナナが『Home』に来てくれたら百人力だ。発表した曲全てがファンだけじゃなく大衆に愛され、音楽業界から手放しに絶賛されるほど曲作りの才能があるナナ。当然、編曲のスキルだってかなり高いだろう。一度あんな完璧なステージをしたのならどのパートだって上手くこなせるだろうし、何より、歌詞を書いた本人の解釈があれば他のチームにも負けない良いステージが作れる。専門外だとは思うけれど、ナナならダンスの創作でも力になってくれる気がした。
だからナナに来て欲しい。そうは思ってはいても、『GANG』を猛烈アピールをするジュンヒョンみたいにナナに『Home』に来るようすすめるなんて無理だ。そんなひどいこと、出来るはずがなかった。
・
1852人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます! 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました!思わず、ナナー!!!!って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年7月24日 22時