277.怖い先生 ページ30
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「どうしたのユジン、ため息ついて」
朝食を食べ終わった後。ケイタもユジンもこのまま自主練をするということで、三人一緒に練習室に向かっていたのだけど、練習室に近づけば近づくほどユジンが萎れていくようにどんどん元気がなくなっていくのに気付いて。ついにはため息を吐きながら俯いてしまったから、できるだけ優しい声で「体調悪い?」と聞けば、ユジンは「違うんです」と首を振った。
「……今日、先生達のトレーニングあるじゃないですか。その……グヨン先生だったら嫌だな、って……」
「あー……なるほど……」
「グヨン先生が嫌いな訳じゃないんです。むしろダンスのスタイルを参考にしてるくらい尊敬してる先生ですし。でも……」
「大丈夫大丈夫、分かってるから。グヨン先生、怒ると怖いもんね。仕方ないよ」
ユジンはシグナルソングの時だけじゃなく、グループバトルの時もグヨン先生に厳しい言葉を向けられたらしいから、グヨン先生に対して若干のトラウマのような、苦手意識が出来てしまったのかもしれない。
「ダンスの先生、ヨンジュン先生だったらいいんですけど……」
「うーん……ヨンジュン先生かあ……」
「ヨンジュン先生はボーカル&ダンスの方いくんじゃね? 『Home』の振付してるから。前回のアジュナイスもそうだったしさー」
「ちょっとケイタ……」
そんな希望を打ち砕くようなことはっきり言わなくても。私もそう思ったけれど。
苦い顔を向ける私にケイタは「あ、やべ」と小さく呟いてから、「でもヨンジュン先生『LAW』で踊ってたし分かんないか!」と誤魔化すように笑った。それを見てユジンは大きくため息をつく。
「わかってますよ、ヨンジュン先生がナナ兄さんの方だってことくらい……ナナ兄さんが羨ましいです、交換してください」
「交換……? あ、まあ……ヨンジュン先生も怒ると怖いし……? 俺もシグナルソングのときにみんなの前でヨンジュン先生に結構言われたからあまり気乗りはしないっていうか……? あと純粋に振付した方だから他の先生よりも細かく見られそうだし……?」
「じゃあ尚更交換すべきじゃないですか。二人とも得します」
「ハハ……」
(すみません、ヨンジュン先生……ユジンの気分を軽くさせるためで、決して本心では……ないこともないですけど……)
でもほんのちょっとだけ、心の片隅でそう思ってるだけなんです……。
内心そう言い訳をしながら、私は苦笑いを漏らした。
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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます! 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました!思わず、ナナー!!!!って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年7月24日 22時