268.どうして（ソン・ハンビン） ページ21
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「ナナ、俺は、」
「ごめん、ごめんなさい、わたしのせい、わたしのせいで……」
俺の言葉に被せるように、ナナがあまりに不安定な声でそう言って。思えば、今のナナの声はいつも話すときのものより高い気がした。元から高い方ではあるけれど、今のこの声は、今のこの話し方は、まるで。
「わたしが、あのとき…………………いれば……あなたを……………なければ……」
そんなことを考えているうちに俺の服を強く掴んでいた手が離れ、ずるりとナナが座り込んだ。はっとして急いで振り返って、そのまま体ごと地面に倒れそうになっていたナナを支える。
「ナナ？」
名前を呼んでももう反応はなく、見ればナナは気絶するように眠りについていた。眉間に皺を寄せて苦しそうな寝顔に、思わず唇を噛む。
(ナナ、どうして……)
どうして俺をヨンジュさんだと間違えたの。そもそも、どうしてこんな夜に、外に出てヨンジュさんを探してたの。
何もかも分からなくて、分からないのが辛くて、目の前の状況にたただ困惑している自分が嫌で、今すぐナナを起こしてでも問い詰めたかった。それを出てきそうな涙と一緒に、ぐっと耐える。
(誰かを呼ぶ、のはやめた方がいいか……)
流石にナナをこのままにしておくわけにはいかない。ベッドからそのまま出てきたのだろうか、ナナは部屋着だった。まだ冬なのに、こんな薄着で外に居続けたら風邪を引いてしまう。早くベッドに戻してあげた方がいい。
でも、この時間じゃみんな寝ているだろうし、人を呼びに行く時間ももったいない。何より、大事にしたくなかった。ナナも困るだろうし、さっきまでの出来事は俺の胸の内に秘めた方がいい気がした。
なら、俺がナナの部屋まで運ぶしかない。そう思ってなんとか一人でナナをおぶって立ち上がると、思った以上に軽くて驚いた。寝ている人は重く感じるらしいからそれなりに覚悟はしていたのだけど、そんな覚悟なんて要らなかったくらいナナは軽くて。確かに華奢すぎるとは前々から思っていたけれど、それでも身長から考えたら軽すぎるんじゃないかと心配になってくる。
(……とにかく、行かなきゃ)
前より痩せたんじゃないかとか、考えればキリが無かったけれど、息をついてから俺は歩き出した。
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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます！ 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました！思わず、ナナー！！！！って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アップルパイ | 作成日時：2023年7月24日 22時
