267.四文字（ソン・ハンビン） ページ20
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(流石にもう寝ないとか……)
ふう、と首を回しながら思う。
チーム全体での練習を終えたのはとっくの前。みんなにはもうちょっとひとりで練習してから寝ると言っていたのだけど、いつの間にか全然もうちょっとじゃない時間まで練習してしまった。フェテク兄さんやジャンハオ兄さんにバレたら呆れた顔を向けられるかもしれない。
(そういえば、今日ナナは残ってなかったみたいだったな)
ふと思う。昨日俺達TOMBOY組が練習を終えて部屋に戻ろうとする時、Home組の練習室はまだ明かりがついていて。今日廊下でシンセサイザーを抱えたナナとすれ違ったとき、「ナナのチームは上手くいってる？」と聞いてみたら「ジョンウ兄さんが居なかったらもっと大変だったかも」と眉を下げていたから、きっと苦戦しているんだと思う。
動線に加えてナナは編曲も考えているらしいし、それがなくてもナナは練習の鬼だから、ちゃんと休む時間があるのか心配で。だから、さっきHome組の練習室の前を通った時に電気が消えていて誰もいなさそうなのが分かったときは安心した。今頃ナナもゆっくり寝てるのかな、そうだといいな、と思う。
(今日はいつも以上に暗いなあ……)
部屋に戻る前に少しだけ体の熱を冷まそうと外に出て。ひんやりとした空気を感じながらなんとなく見上げれば、空は厚い雲に覆われていて、星どころか月すらも見えない。昨日は晴れてたのに、ちょっと残念に思いながら夜空をぼんやりと眺めていた時だった。
「っ、待って！！」
「え？ ナナ？ …………うわっ！？ 」
突然後ろからナナの声がして、振り返ろうとする前に。どん、と背中を体当たりされるように抱きつかれる。他のみんなならともかく、ナナからこんなことをされると思わなくて。本当にナナなのかと驚いているうちに、ナナは震える声で「良かった」と言った。
「今回は間に合った……良かった、本当に良かった……」
「ねえ、本当にどうしたのナナ。何があったの？」
俺の質問に答えず、ナナはしゃっくりをするように浅い呼吸を繰り返して。
「お願いだから、もう、わたしを置いていかないで。何処にも行かないで。一人にしないで。————ヨンジュ」
ぎゅっと俺の服を掴みながら、背中に頭を擦り付けながら、まさに縋り付くようにナナはそう口にする。
ヨンジュ。その四文字にひゅっと心臓が冷えた。ナナは、俺をヨンジュさんだと思っているのだろうか。どうして。
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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます！ 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました！思わず、ナナー！！！！って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アップルパイ | 作成日時：2023年7月24日 22時
