恥ずかしそうな貴方 ページ6
「A！」
急に名前を呼ばれたので、ビックリして肩が飛びはねた。
「ちょっと、いいかな」
声の主はハリーだった。愛しいハリー。
それは夜だった。ハーマイオニーと図書館に行って寮へ戻り早めに寝ようかなと思って女子寮への階段を上りはじめたときだった。
「あ……ええ、もちろん」
緊張していたが、ハリーにはとびきりの笑顔を向けた。少しでも印象をよくしていたい。
笑顔が似合うと言われたい。
「ここじゃあ、その、なんというか……うるさいから、隅の方行かない？」
「そうね、あっちがいいわ」
壁には雰囲気のある絵画が飾ってある。
そこにひっそりとイスがある。そこに2人で並んで腰かけた。
座ってから何秒間か、沈黙が続いた。
ダンスパーティーのことだろうな、と思ってはいたが、自分からは話が切り出せなかった。
もし違っていたら、あたしはせっかちな女だと思われて嫌になられるかもしれないからだ。
「あの、ハリー？」
「えっ？」
「貴方の話ならなんでも聞くわ。たとえ何時間もかかってでも。だから、ちゃんと話して」
そのときはじめて夜のハリーの目を見た。
鮮やかな緑で、遠くを見据えたようなしっかりとした目。
あらためてあたしはハリーを好きだと思った。
ゆっくりと口を開き、それからハリーは耳を赤くした。「ダンスパーティーのことなんだけど」
「僕、やっぱり君と行きたいんだ。」
「いま、なんて言ったの？」
ハリーの言ったことが信じられなくて、あたしはとっさに聞き返していた。
……聴こえたけれどもう一度。
「だからさ、つまり……えっと」
「僕はAを誘っているんだよ」
「なんてことなの！」
嬉しすぎて言葉にあらわせられない。
まさにこの通りだわ。
大好きなハリーがあたしと一緒にダンスパーティーで踊ってくれるですって。なんて嬉しいことでしょう？
「ああハリー、嬉しいわ。じゃあ、楽しみにしているわ！ おやすみなさい」
「あ、うん……おやすみ」
すぐにハーマイオニーに知らせようと、階段を駆け足で上がる。
さっきまでは重かった足取りも、今や世界最大の山でも登り切れそうな軽さだった。
ちょっと待って。
……チョウは？ 誰と行くの？
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IZU - 改めてハリー可愛いしかっこいいなって思いました！！ハリー落ち短編集でしか見たことなかったんですけど、やっぱりハリーはいいですね！ (2016年8月30日 17時) (
レス) id: ea97666007 (このIDを非表示/違反報告)
棗野 ｡(プロフ) - ∞トリクシア∞さん» 面白かった、そうコメントして貰えて光栄です。最後のほう、早く終わらせようと焦ってしまい、ちゃんと落ち着いて更新できなかったのですが……こうしてコメント貰えたのでこれでよかったかなと思ってます(単純)。 コメントありがとうございました！ (2015年8月10日 20時) (レス) id: 2e90d9dd81 (このIDを非表示/違反報告)
∞トリクシア∞(プロフ) - とても面白かったです！ ハリー落ちの作品は初めてなんですが、すごくよかったと思います！
(2015年8月10日 20時) (携帯から) (レス) id: dad191b995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棗野 。 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=kimotan
作成日時：2015年6月21日 0時
