余裕がない貴方 ページ2
「ああ、ハーマイオニー、あたしどうしたらいい？」
ふわふわした髪を揺らして歩くハーマイオニーが振り返った。
「どうしたの？」
「ハリーに告白してフラれたわ」
なにげなくボソッと言ったあたしの声に気付いて、さっきまで仏頂面だった顔を驚愕の色に変えたハーマイオニー。目をまんまるくして嘘でしょう、とでも言いたそう。
「わたし、わたしそんなこと知らなかったわ！ どうしてそのことすぐに話してくれなかったの？」
「違うの。きょうハリーが……チョウのことを可愛いと言ったの。あたしそれが悔しくて、すぐに想いを伝えたくて」
ハーマイオニーはまだ信じられない、という顔をしてあたしを見てる。
チョウ・チャンはレイブンクローの寮生で、クィディッチがとても上手なシーカー。
ハリーはチョウのことが好きらしい(ロンによれば)。
あたしはチョウとは(チョウのことは友だちとして好きだけれど……)ライバルということになる。
どうしてか妙に恥ずかしくなって、持っていた教科書(闇の魔術に対する防衛術)で顔を隠した。
「A、あなた本当にハリーのことが好きなのね」
「だって格好いいし、優しいし、それに可愛いの！」
「優しいのはわかるけど、可愛いって？」
「ニコニコ笑っているときよ。 わからないの？」
「……よくわからないわ」
ハリーの可愛さがわからないなんて、もったいない！
……だけど、わかってほしくないかもと思っている自分が隠れてるのも、よくわかっていた。
「ハーイ、ハリー」
「やあ」
ハリーは誰にでも優しいし、クィディッチもうまいから、ああやってたくさんの(可愛い)女の子がハリーによってくる。
だからといって、ハリーはあたしのものじゃないから、嫉妬しても誰にも言わず悟られずに何ともないような顔をしてハリーと一緒にいる。
「ハリー、きのうのことは忘れて。でもあたし諦めないわ」
羽ペンが入ってる筆箱をぎゅっと握りしめてハリーの方を向いた。ハリーは耳を赤くしてこっちを見ていた。
可愛いと思ったことは秘密だわ。
「そっか……えっと、そういえばきのう、つめたく言っちゃってごめん。ちょっとその……驚いて」
「意識してくれたのね？ 嬉しいわ」
そのあとハリーが顔中真っ赤になって全然こっちを見てくれなくなった。
当然よ、とハーマイオニーまでもが赤面していた。
＿＿＿ねぇハリー。とてもとても素敵な貴方へ贈るわ。
あたしの想いを受け取って、お願いよ。
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IZU - 改めてハリー可愛いしかっこいいなって思いました！！ハリー落ち短編集でしか見たことなかったんですけど、やっぱりハリーはいいですね！ (2016年8月30日 17時) (
レス) id: ea97666007 (このIDを非表示/違反報告)
棗野 ｡(プロフ) - ∞トリクシア∞さん» 面白かった、そうコメントして貰えて光栄です。最後のほう、早く終わらせようと焦ってしまい、ちゃんと落ち着いて更新できなかったのですが……こうしてコメント貰えたのでこれでよかったかなと思ってます(単純)。 コメントありがとうございました！ (2015年8月10日 20時) (レス) id: 2e90d9dd81 (このIDを非表示/違反報告)
∞トリクシア∞(プロフ) - とても面白かったです！ ハリー落ちの作品は初めてなんですが、すごくよかったと思います！
(2015年8月10日 20時) (携帯から) (レス) id: dad191b995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棗野 。 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=kimotan
作成日時：2015年6月21日 0時
