シャングリラ【吉沢亮】 (ページ9)

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episode9 ページ9

私のリップはいつも乾燥防止の色付きリップだ

化粧品を見るのが好きで、新作もSNSですぐチェックする
だけど自分には似合わないことを理解している

だからゆりちゃんが使っている真っ赤なティントに憧れた。

ゆりちゃんのように背が高く顔も小さい色白で黒髪の女性には赤のティントがよく映える

そのティントを今私はつけている

ゆり:あいつら遅いなー
「…やっぱ私帰りたい…」
ゆり:何言ってんの。可愛い子連れてくるって言っちゃったんだから

何でハードル上げた？
彼氏のはやとくんとすらまともに話したことないのに…

街中のゲームセンター前で待ち合わせ
S高の水色のシャツを着た二人がこちらへ向かって歩いてくるのが見えた

「え、あれ？」
ゆり:ん？あぁ、はやとくーん

ビンゴ。

はやと:ゆり～！

そう、これがゆりちゃんの彼氏の田中はやとくん。
まさかのゆりちゃんよりも背が低いという

はやと:Aちゃん久々やなぁ、元気？
「…う、うん」

すぐにゆりちゃんの後ろに隠れてしまった。
いや、問題なのははやとくんではない

その後ろにいる男子だ。

ゆり:おっほーイケメンだね。

はやと:イケメンって言ってもいつも一緒にいるからな～こちらバスケ部の高橋。こっちがゆりちゃんの親友のA。

高橋:…ども

男性が苦手以前に

初対面の人と話すのが苦手な人見知りだ

はやと:じゃあマック行く？

放課後に男子と遊ぶのはこれが初めてだ。

ゆりちゃんとはやとくんが隣に並んで歩くと同時に
私は高橋君と並んで歩くことになる

高橋:…人見知り？
「え？…うん」
高橋:俺も人見知り、本当は他の奴が来る予定だったんだけど来れなくなって…

ん？ああ、そうなんだ。
高橋君ははやとくんと並ぶと凹凸も凄まじい

180cm前後ぐらいありそうな身長と
何を考えてるのか分からない無表情な顔つき

高橋:でも俺と同じぐらいその来れなかった奴も人見知りで、永瀬っていうんだけど

…

「…永瀬？」

踏み出そうとしていた片足を戻し私は立ち止まった

その綺麗でしとやかで
漫画の中でだったら重要人物に付けられそうな

その苗字に

私はトラウマを抱いている。