シャングリラ【吉沢亮】 (ページ3)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:52,010 hit

episode3 ページ3

…何故この人が私の部屋にいるのか

顔の綺麗な男の人がいる。
私の見慣れた部屋に腰掛けて中を見渡している

「…あの、何ですか」

『ん？あぁさっきユキが言ったことあんま気にしないで。』
「…お姉ちゃんの彼氏なんですか？」
『まさか。ただの友達だよ、頼まれたのは本当だけど』

こんな綺麗な人になんてこと頼んでんの…
そしてこの人は私が異性が苦手って知ってんのか

うわあ、何その地獄
絶対内心バカにされてるわ…

『俺のこと怖いって思う？』

離れた場所にいたのに気付けばベッドに腰掛けていた私のすぐ横で同じように腰掛けていた

近くで見ると本当に顔綺麗…

「…怖いです。何かされたわけではないけど」
『何考えてるか分からないから？』

「…うん」

何考えてるのか分からない
好きな人に悪く言われるのがどんなに辛いか
この人は知らずに生きてきたんだろうな

『それなら俺はAちゃんが怖いかなー』
「え？…あぁ、そうなるか」

この人からしたら私が何考えてるか分からないわけだからそうなるか

『でも恋愛したいんでしょ？』
「…したいです」

『じゃあ、俺のことリハビリと思ってよ。』

…ん？
何故そうなる？

『彼氏が出来たらしてみたいこと俺としてみようよ』
「…それはどういった意味で？」
『んー…一種のリハビリだと思ったらいいかな』

そう言って彼は私に右手の手のひらを出してきた

…

そのまま彼の手に自分の左手を添えた

『あれ、手割と小さいね』
「…」

握られた手から温もりを感じた
私よりずっと大きくてゴツゴツしたその手に

私の顔は真っ赤だった

『俺のことなんて呼んでくれる？』
「…よ、吉沢…くん？」
『じゃあ俺はAちゃんって呼ぶね。』

これが彼との出会いであった

・

「…猫」

帰り際に交換したLINE
身内以外で初めての男のLINE…

吉沢君、名前が漢字で吉沢亮で登録している
アイコンは塀を登っている黒猫

…不思議と彼は怖くなかった