君と描く物語１２

＃５５６ ページ6

天元side

この次はAの所か…

直前の面談が済んで、その生徒と保護者が教室を後にすると
扉付近で話し声が聞こえて存在に気付く


去年は代理で姉が来てたけど、今年は母親だろうな


天元｢…｣

Aの母親に会うのは、久しぶりだな…
あの日以来か


＿A 母｢宇髄先生……もしこの子が…大きな選択の前で立ち止まってしまう事があれば……｣


Aの知らない、俺と Aの母親の間で交わされた約束

俺は…きちんと果たせているだろうか…


ｶﾞﾗｧ…



天元｢では、早速…Aさんの普段の学校生活や成績面のお話を｣

母｢はい｣

天元｢進路を変更後、それまでより上がったレベル分の勉強も補っていて
当日 無事に全力を出し切れれば、合格ラインも安心だと思います

ただ、本人もわかっている通り倍率は相当の物…

レベルは高いに越した事はないので、これからも気を抜かずに偏差値を上げていくのをお勧めします

そして、何より問題になってくるのが実技の方ですが…｣

A｢…｣

真剣な眼差しで俺の話を聞いているA
今は、俺達の関係や他事など全て取っぱらって…進路の事だけを見詰めてる

天元｢今までも何人か美大への入学を見送ってきた私の経験から言っても、この短期間でぐんっと技術や理解を高めて居ると思います

このまま、その向上心と努力をキープし続ければ
志望校への合格も夢では無いかと｣

A｢…っ｣ﾎｯ

母｢そうですか……進路の話を聞いた時は驚きましたが、私達家族は皆 本人が決めた事ならば全力で応援したいと思っております

宇髄先生、どうか…宜しくお願い致します｣

天元｢はい。私も出来る限りを尽くします

A…後 四ヶ月、一緒に頑張ろうな｣

A｢…っ…はい！宜しくお願いします！｣

天元｢…｣

いい顔になったな

これなら、Aの母親にも安心して貰えているだろうか



天元｢では、面談は以上になります。改めて、お時間頂きありがとうございました｣

母｢いえ、こちらこそ…ありがとうございました｣

Aの面談も無事に終わり、お互い席を立って一礼する

母｢Aは、これから部活？｣

A｢うん｣

母｢じゃあ見送りは良いからもう行きなさい｣

A｢そう…？じゃあ先生、失礼します｣

天元｢あぁ、また様子見に行くよ｣

そう言って送り出すと、部室に向かうAを二人で見送った

母｢……宇髄先生、改めて…あの子の事ありがとうございます｣

天元｢…！いえ…俺は……｣

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