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杏寿郎side
ガラァ…
職員室のデスクで次の授業の準備をしていたら、ついさっき部屋を出て行った宇髄が戻ってくる姿が見えた
杏寿郎「どうした、宇髄!美術室に向かったんじゃなかったのか?……って……これはまた…」
椅子に腰かけたまま宇髄を見上げると、どんよりとした表情に
死んだ魚の様に生気のない目でこちらに歩いて来た
天元「……十分…いや、五分でいいから…そっとしといてくれ」ボソッ
杏寿郎「おぉ…」
毎年恒例の夏祭りの見回り
下を向いていた宇髄の背中を押してやりたくて、俺は宇髄の本心を煽る様な言葉を掛けてしまったが…
正直、駆け出して行った宇髄が再び俺の前に姿を表した時
もしかしたらとても余計な事をしてしまったのでは無いかと深く後悔した
何せその時の宇髄の様子と来たら…
一体何があったのかと…聞くのもはばかれる程の落ち込みっぷりに、その場では何も情報が得られなかったが
新学期が始まり、生徒達が噂する声を聞いて大体の事に察しがついた
……見てしまったんだろうな、A達のその現場を…
まぁ、そりゃかなりのショックだろうが…
天元「…」ズーンッ
どう声を掛けていいのやら……
相変わらずAの前では気丈に振舞って、自分の気持ちは隠しているのだろうから
A本人は宇髄がここまで落ち込んでる事もしらないんだろうな
確かに、校内でも Aが時透と共に過ごしている姿をよく見かける様になった
前世からの記憶を通しても、俺の知る限り時透はAと一緒に居る時が一番穏やかな顔をしている様に見受けれる
…だが、Aは……
宇髄と相思相愛だと自覚しているあの頃が、一番幸せそうに見えたのは…俺の勘違いだけでは無いと思うのだがな…
人の気持ちに敏感で、少しの変化でも見破る宇髄だが
Aの事になると本当に別人の様に鈍いらしく
天元「…………よし、行くか…」ムクッ
杏寿郎「む。もういいのか?」
天元「次、うちのクラスの授業だからな…切り替えて早めに行くわ」
杏寿郎「そうか」
Aの進路の事も方が着いたのだから、何の生涯も無く元の関係に戻ればいいと……
傍から見ればそんな簡単に見えてしまう事でも、本人達からして見れば
世界中のどんな問題よりも難問なんだろう
特に、自分から相手を突き放してしまった宇髄にとっては余計に…
杏寿郎「大人になる…とは、難しいものだな…宇髄」
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momoko19960430(プロフ) - レモネードさん» 電話はお察しの通り無一郎くんでしたね!二年連続で、宇髄先生と過ごしていた学園祭も、今年は初めて先生以外と過ごす学園祭になるのでしょうか…次章が、最後の学園祭の後編となります! (2021年9月7日 23時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
レモネード - 童磨もまだ諦めていなかったんだね。しかし、童磨もめげないねぇ……。電話の相手は無一郎くんかな?夢主ちゃんは劇を見に行くのかなぁ。最後の文化祭、何かが起こるのか……。 (2021年9月7日 15時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
momoko19960430(プロフ) - レモネードさん» 学園祭初日が始まりました!無一郎くんとの合流の前に、まさかの童磨登場…何やら口説かれている(?)ようですが…大丈夫でしょうか(^^; 今回の学園祭も何やらアクションが起きるのでしょうか… (2021年9月6日 23時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
レモネード - 夏祭りでのキスをしている所をまさか見られていたとは……。さすがに宇髄先生も気が気じゃないよね……。残りわずかな高校生活、文化祭ではコスプレ喫茶をするみたいだけど、まさか今年は無一郎くんと回るとはねぇ…。 (2021年9月6日 1時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
momoko19960430(プロフ) - レモネードさん» 無一郎くんの止まらないアプローチ。けど、心の中は複雑な様ですね…。そして、無一郎くんの思惑通りキスを目撃してしまった宇髄先生…心の中は穏やかじゃないでしょうが…折角 また夢主を追いかけようとしたのに、途端にこれでは…この先どうなるんでしょうか (2021年9月4日 23時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2021年8月19日 9時