君と描く物語１０

＃４９１ ページ41

天元side

Aに背を向けその場を離れてすぐ、俺が泊まってる部屋の入口には
修学旅行中同室になった煉獄の姿が見えた

天元｢悪ぃ、遅くなった…｣

携帯を片手に、ドアにもたれかかって腕を組みながら俺を待ってた煉獄にそう声を掛ける

煉獄と一緒に部屋に入り、荷物をベッドの上にぽんっと投げ捨てる

杏寿郎｢…夜に密会とは、なかなか危険な橋を渡るな…

流石にいつ生徒達に見られるかもわからん様な場所はまずいんじゃないか？｣

天元｢…！見てたのか？もしかしてわざと電話…｣

そう、さっきの電話は煉獄からだった

煉獄は下の階の生徒の部屋を、俺はその上の…A達が使っている階の見回りを任されていて
単に俺の見回りの戻りが遅いから電話してきたのかと思ったら…

杏寿郎｢……何かあったのか？随分様子がおかしいが

もしかして、俺の電話は余計なお世話だったかな？｣

怒っているわけでも無く、ただ確認する様に尋ねる煉獄

天元｢…いや……正直助かった…あのままだったら…｣

あのままだったら俺、取り返しのつかない所まで口走ってたかも知れねぇ

何の為にAを突き放したのかわかんなくなっちまうってのに…


杏寿郎｢…ここの所 弱りきってるのは、やはり あの子が原因なんだな｣

天元｢……伊黒ってまだ起きてるか？｣

杏寿郎｢ん？あぁ…今しがた出入口を出た辺りで電話をしていた所は見たぞ｣

天元｢二人に報告したい事がある…｣

杏寿郎｢……わかった、声を掛けてこよう｣

天元｢頼むわ｣



小芭内｢何だ？話って言うのは…｣

数分後、煉獄の連絡を受けて伊黒が部屋にやって来た

テレビ台の淵に軽く腰かけて俺に目線をおくる

天元｢やっぱりお前ら二人には、ちゃんと話しとこうと思ってさ

もう時間も遅いし簡潔に話す……ついこの間、Aと別れた｣

杏寿郎｢…！｣

小芭内｢わ…かれ…たって…｣

杏寿郎｢喧嘩でもしたのかと思っていたら…何故そんな事に？｣

天元｢俺から言ったんだ…別れようって｣

杏寿郎｢…っ｣

信じられない…と言った反応の煉獄…その一方で……

小芭内｢…もしかして、Aの進路の事か？｣

天元｢あぁ…察しがいいな｣

去年Aの担任だった伊黒には、ある程度の察しがついたようで
眉を顰めながら小さくため息をついて俯いた

杏寿郎｢どういう事だ？Aの進路に関わる事で何かあったのか｣

天元｢…｣

小芭内｢…俺から説明する……実はな…｣

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