優秀な５年生は少し変わってる【忍たま】

36話【企てを】 ページ45

鉢屋三郎side







まさか、あの人が来るとは。

腕は、確かなんだが、いかんせん性格が、な。



勘右衛門「三郎、雷蔵、八左ヱ門」

三郎「勘右衛門に兵助か、どうした？」

兵助「あの人、久しぶりに来たな」

雷蔵「あはは、確かに僕らが1年の頃は行事の度に来てたよね」

八左ヱ門「忍術学園にあの人を知らない人はいないってくらいに有名だったよな」



“霧島出雲”の名前が出た途端の５・６年と教職員の表情といったら、酷かった。

あの人は、俗に言うシスコンだ。

あんだけ、甘いマスクで仕事では女を落としまくっているくせに、日常がコレだから…。



Aの前であの人の名前を出した時は、殺されるかと思った。






三木ヱ門「5年生の先輩方は、あの方を知っているのですか？」

三郎「まぁな」

＿霧島出雲、25歳。

　霧島Aの兄で、利吉さんの師匠であるプロ忍者。

　忍者の能力は全て独学で学園長も認める凄い人だ。

　そして、シスコンだ。

　あの顔からか告白される事は良くあるらしいが、全て断っているらしい。

　あの人の世界は、妹、つまりA命である。＿


三木ヱ門「はぁ、凄い人なんですね」

雷蔵「そうなんだよねぇ。あの利吉さんの師匠だからね」




『別にあいつは妹命じゃないぞ。シスコンだけどな』

三木ヱ門「A先輩、どうしたんですか？」

『ああ、三郎。雷蔵の面を貸してくれ』

私に雷蔵の面を貸せ、だと⁉

ふざけてんのかコイツ。



ユキ「ゴール！1位はHコース霧島出雲さんです‼ゲスト忍者チームには3ポイントが加算されます！」

いつの間にかゴールしていたらしい、出雲さんはゴールでこちらに手を振っている。

体にまとっている装束は深緑色をしていて、その近くでふんどしと肩衣姿の伊作先輩が出雲さん〜、と泣きながら服を引っ張っている事から伊作先輩の物を奪ったのだろう。

目をキラキラと輝かせ、A〜！と叫んでいる。



そちらに気を取られていると、いつの間にか顔にAの手がかかっており、雷蔵の顔を引き剥がしていた。




雷蔵の面の下にはもう数枚雷蔵の面を付けているから、1枚取られても素顔は見えないのだが、私の心が傷つく。



三郎「あ、ああ。雷蔵が……雷蔵がぁぁああ‼」

雷蔵「僕じゃないよね…」



私にとって、雷蔵の面を一枚でも取られるという事は、万死に値する。


さぁ、A暗殺の企てを考えようか。

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