3話【やり過ぎ】 ページ5
田村三木ヱ門side
霧島A先輩。
5年は組。
忍たまで唯一の女子。
5年生の中では、座学も実技もトップで先生方からの信頼も厚い。
非の打ち所の無い完璧な先輩……
というわけでは無い。
失敗はするし、自分に甘い節もある。
それでも、頼まれた事がどんなに困難でも愚直にやり抜くし、意志が強い所もある。
後輩思いで僕らの事を1番に考えてくれるし、先輩相手でもしっかり発言できる。
だが…
『潮江先輩‼』
文次郎「あ、ああ」
『何をやられていたんですか！委員会はとっくに始まってます‼』
文次郎「いや、その、それは、だな」
これは、やり過ぎだと思う。
完全に立場が逆だ。
『そもそも、後輩に全部押し付けるとはどういう事ですか。既に2日は徹夜をしている上に今日は、4年生が実習。3年が実技。1年がテストだったんですよ。少しは後輩を労おうという気になってみてはどうですか。伊作先輩から、今日6年は座学しか無かったと聞いています。言い逃れはさせませんよ』
左門「先輩、こちらの帳簿…終わりましたぁ‼」
左門、お前は、話に入っていくタイミングも迷子なんだな。
『左門、そいつは団蔵だ。潮江先輩は、こちらだ』
左門「あ、そうですか。では、改めて。先輩、帳簿出来ました‼」
『いや、そっちは、左吉だ。はぁ。とりあえず、私が受け取っておく』
『とりあえず、早急に取り掛かって下さい！ほら、お前達も早く続きをやれ。今日は、寝るぞ』
A先輩は、潮江先輩に負けず劣らず濃い隈を作っている。
団蔵「そういえば、A先輩。昨日来ませんでしたけど、どちらにいらっしゃったんですか？」
『ん？ああ、保健委員の当番で医務室にいたんだが、伊作先輩の不運が発動して薬棚がひっくり返ってなぁ。薬を片付けて、足りなくなった分を取りに行って、作って、ってしてたら、朝になっててな。昨日は、すまなかった』
こちらを見て、軽く頭を下げるA先輩。
三木ヱ門「いえ、大丈夫です」
文次郎「ああ、問題無い」
『あなたには、聞いてません』
バッサリと、切り捨てた。
資料に顔を向け、あからさまに落ち込んでいる潮江先輩。
それを見て、慰めようとする者は、ここにはいなかった。
黙々と作業し続ける事およそ2刻半。
やっと、仕事がひと段落ついたのは、子の刻だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 36人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
素于葉 - 林檎飴さん» こちらこそ、有難うございます。個人的に納得いかない部分は多いのですが、喜んで頂けて嬉しいです。 (2019年6月29日 21時) (
レス) id: 31c11bca6e (このIDを非表示/違反報告)
林檎飴 - 素于葉さん» 事故現場偏、物凄く面白かったです。特に文次郎と仙蔵のやり取りが面白過ぎて腹筋崩壊しそうになりました。無理と言うか...変なお題でしたのにこんな素敵なお話にしてくれるなんて...有り難う御座いました！！これからも頑張って下さい！ (2019年6月21日 21時) (レス) id: 2932db30f1 (このIDを非表示/違反報告)
素于葉 - 紫苑さん» いえ、こちらこそ、遅れてしまい申し訳ありません。面白い、と言って頂き大変光栄です！ (2019年5月11日 0時) (レス) id: 31c11bca6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 返事が遅れて申し訳ないです。先程リクエストの方を拝見致しました。面白かったです。10連休全て仕事だったので癒されました。素敵な話をありがとうございます。それでは失礼いたします。時間あるときにまたリクエストさせてください。 (2019年5月8日 20時) (レス) id: 3646c8eb7e (このIDを非表示/違反報告)
素于葉 - 林檎飴さん» はい！有難うございます！ (2019年5月4日 21時) (レス) id: 31c11bca6e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
