20話【立派な理由】 ページ29
潮江文次郎side
文次郎「作法委員会を引き止めなければ!」
『そもそも、委員長が気付いてくれれば、引き止める必要など無かったのに』
気付いたのに言わんお前も悪いだろ、と叫んでやりたい所だったがギリギリでその言葉を飲み込む。
後輩に負けたという事になる上に、またこいつに馬鹿にされる。
というか、半殺しにされる。
普段からは、想像もつかないような力を出して来るから、またこれが恐ろしい。
小平太「その前に!体育委員会の予算を貰おうか」
きり丸「図書委員会も到着!」
ぐっ。
ヤバい、これは非常にまずい。
作法委員会も追いかけられず、しかも2つの委員会が立て続けに到着など…。
致し方あるまい。
文次郎「団蔵、お前は作法委員会を追え。予算書を取り返して来るんだ」
『こちらは大丈夫。全ての原因である潮江先輩が何とかしてくれるから』
文次郎「はぁ!?」
団蔵「はい!」
文次郎「…さあ来い!まとめて相手になってやる」
縁側には体育委員会の平、次屋、時友、皆本が並んでいる。
小平太「じゃあまずは、体育委員会が…」
体育委員会の予算の話をする前に長次が縁側からゆっくり上がって来た。
割り込む形になっているが、Aも何も言わないし、どちらにせよ体育委員会に予算なんて与えるはずもない為、咎めるつもりはない。
小平太「長次、割り込むな」
不満を持っているのは、小平太を筆頭とする体育委員会だけだった。
長次「文次郎、これを見ろ。虫に食われた書物だ。書庫の環境が悪い為に虫に食われたのだ。…そこで書庫の建て替えを要求する」
文次郎「そんなのは生徒が決める事じゃないだろう」
焦りながら止める。
流石にこれは止めなければ、Aがぶちギレる様子が手に取るように分かる。
『えぇ〜、良いじゃないですか。書庫の環境が悪い為虫に本が食われてしまうから、って立派な理由じゃないですか』
驚きしかなかった。
予算会議では、保険委員会の予算であろうと無駄な物は思いっきり却下するAが賛成派についた事なんて無かったからだ。
小平太「えーっと、体育委員会は…」
文次郎「却下」
小平太「え?まだ何も言ってないぞ」
2度も言葉を遮られ、小平太は少々不満そうだ。
文次郎「あれを」
三木ヱ門に指示を出すと、素早く近くにあった縄を引っ張った。
三木ヱ門「はい」
その途端に小平太の頭の上へ降って来たのは、壊れた器物の数々だった。
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