優秀な５年生は少し変わってる【忍たま】

13話【全力で】 ページ22

不破雷蔵side









雷蔵「本当、よく失神するねぇ、Aは」

『ごめん、雷蔵。…いや、でも、だってさぁ』


布団に顔を埋めながら、口をモゴモゴとさせ、言いにくそうにしている。


隣の部屋から、Aの叫び声と倒れる音が聞こえて、続けざまに3年が僕の部屋にやって来た。





雷蔵「結局何があったのさ」

『…笑わないでよ？




＿＿＿＿＿＿＿＿

孫兵「そういえば、先輩」

『ん？どうかしたか？』

孫兵「先ほど、先輩の部屋で、三四郎と大山兄弟が行方不明になってしまったんですが…」

『ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああぁあああああぁあ‼‼‼‼』
＿＿＿＿＿＿＿＿

て、事なんだ』

雷蔵「相変わらず、虫、ダメなんだね」




1年の頃、部屋に虫が出たと叫んで、僕らの部屋にやって来た事は忘れたくても忘れられないほど、印象深い。

『ねえ、雷蔵。やめてよ、どこにも行かないでよ。1人にしないで。ちょ、せめて…。この部屋で1人にしないでぇぇぇえぇぇええ』


そう、ここは、Aの部屋。

孫兵「先輩、見つかりません！」

『雷蔵、いや。本当、無理。無理無理。いて、ここに居てぇ』


伊賀崎は、行方不明になった大百足の三四郎と毒トカゲの大山兄弟をまだ探しているらしい。

さっきから、「雷蔵の部屋に行かせて」と懇願して来るのが、また困る。

三郎が八左ヱ門に渡された山のような春画が部屋にあるから、流石に部屋には行かせられない。




兵助「お前ら、何やってんだ」

勘右衛門「おお〜、春画の一場面みたいだな」

三郎「雷蔵に抱きつくなよ！」

八左ヱ門「孫兵までいるじゃねーか」







困っていると、ちょうど良い所に兵助たちがやって来た。


雷蔵「ちょうど良かった」



八左ヱ門には、三四郎と大山兄弟を探すように、兵助と勘右衛門には、見つかるまでAをい組の部屋で預かってもらうように頼んだ。

三郎は、邪魔だったから、部屋の春画を燃やすように頼んだ。




八左ヱ門「雷蔵。大山兄弟は捕獲したけど、三四郎が奥の方の隙間に入り込んでて出てこねぇんだ。腹すかしたら、そのうち出て来ると思うけど、時間かかりそうなんだよなぁ」


とりあえずお礼を言って、い組の部屋を覗く。

『やめてえええええぇえぇえぇ！！虫、近付けないでぇ！死ぬぅ』

叫んでいる、Aがいた。

兵助を盾にするようにして、勘右衛門を避けていた。


全力で。

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