番外編【5月6日 5ろの日で】second ページ18
鉢屋三郎side
伝子「今回の女装実習の合格条件は、男性と1対1でお茶して来る事よ。勿論、相手に奢って貰うのよ。でも、……一筋縄では行かないわよ」
相変わらずのケバい化粧で初見の人は、怯えて逃げ出すであろう顔だ。
木下「不合格条件は、男だとバレる事、制限時間の2刻を過ぎる事だ!くれぐれも油断してかかるなよ‼」
そのせいか、いつも通りの忍者服に、いつも通りの顔の木下先生が酷く安心できる。
三郎「私にかかれば、これくらい造作も無いさ」
私は、淡い水色の着物にナチュラルメイクの町娘を装っている。
雷蔵の顔は、使わない。
双子だと思われれば良いが、もし誤解されたら、2股以上かけていると思われてしまう。
雷蔵「とりあえず、合格すれば大丈夫だよね。おかしく無いかなぁ?」
全然おかしく無い。
寧ろ可愛い。
Aより、女っぽいし、色っぽい。
こんなに可愛い奴を街に放ったら、絶対襲われるだろ。
私が守らなければ。
八左ヱ門「俺、自信無いんだよなぁ」
そりゃあ、そうだろうな。
山田先生程では、ないがケバい。
これなら、化粧しない方が良いだろう。
と、思うくらいだ。
標的を定め、相手に駆け足で近づき、わざとぶつかる。
三郎「きゃっ!いたた…」
肘をさすりながら、呟くように言う。
「何だよ、おま…え」
三郎「すみません!ぶつかってしまって!お怪我はありませんか?」
涙目で見上げれば、大抵の男は、堕ちる。
「い、いえ、大丈夫です」
三郎「あ、あの、もし宜しければ、お茶しませんか?お勧めの甘味屋があるので。その…お詫びとして」
「私は、大丈夫ですが…」
三郎「良かったです。あ、勿論奢りますので…」
「いえいえ、女性に奢らせるなんて出来ません‼」
よっしゃ!
これで、課題は終了。
俺にこの手の課題は、赤子の手を捻るような物だ。
三郎「ですが…!」
「お嬢さんとお茶出来るだけで、その…幸せというか…」
三郎「あ、有難うございます」
「兄さん!何をやっているの⁉」
いきなりやって来たのは、男の妹らしき人。
素朴だが、顔立ちが整っている。
「あ、え、おう」
「もしかして、兄が何かなさいました?」
三郎「いえ、どちらかというと、私が…。それで、お詫びを、と」
「ああ、そんなの良いです!どうせ、兄の不注意もあると思いますし…。それより、この人借りて行って良いですか用事がありまして?」
三郎「え、あ、ちょっ」
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素于葉 - 林檎飴さん» こちらこそ、有難うございます。個人的に納得いかない部分は多いのですが、喜んで頂けて嬉しいです。 (2019年6月29日 21時) (レス) id: 31c11bca6e (このIDを非表示/違反報告)
林檎飴 - 素于葉さん» 事故現場偏、物凄く面白かったです。特に文次郎と仙蔵のやり取りが面白過ぎて腹筋崩壊しそうになりました。無理と言うか...変なお題でしたのにこんな素敵なお話にしてくれるなんて...有り難う御座いました!!これからも頑張って下さい! (2019年6月21日 21時) (レス) id: 2932db30f1 (このIDを非表示/違反報告)
素于葉 - 紫苑さん» いえ、こちらこそ、遅れてしまい申し訳ありません。面白い、と言って頂き大変光栄です! (2019年5月11日 0時) (レス) id: 31c11bca6e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 返事が遅れて申し訳ないです。先程リクエストの方を拝見致しました。面白かったです。10連休全て仕事だったので癒されました。素敵な話をありがとうございます。それでは失礼いたします。時間あるときにまたリクエストさせてください。 (2019年5月8日 20時) (レス) id: 3646c8eb7e (このIDを非表示/違反報告)
素于葉 - 林檎飴さん» はい!有難うございます! (2019年5月4日 21時) (レス) id: 31c11bca6e (このIDを非表示/違反報告)
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