そのままの君が好き【短編集】

増田俊樹 ページ3

【増田俊樹×幼馴染彼女×電話】

職業:インテリアデザイナー

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#増田side

『今思うと笑っちゃうよね』

遠距離恋愛中の彼女、Aは電話口で仕事での出来事を笑い飛ばす。先週、職場の先輩と少し揉めたらしい。話を聞く限り、Aには非はなく、先輩の一方的な勘違いで八つ当たりされただけのようだった。
有り難いことに仕事も増え、俺は毎日忙しくしている。帰省どころか電話さえそんな頻繁にできる状態ではなく、Aの仕事であったことを聞くのも、今回のように随分時間が経ってからのことが多かった。今は笑って話せているけれど、本当は辛かったんじゃないかな、なんて。

増田「A、仕事楽しい？」

『え？楽しいよ？・・・あ、ちょっと愚痴りすぎた？ごめん。でも大丈夫。そりゃ嫌なことも腹立つこともあるけど。ずっとやりたかった仕事だからね』

今のAの仕事が、ずっとAの憧れてきた仕事だということは俺も知っている。小さい頃から夢だとずっと言っていたし。

増田「それならいいんだけど」

だけど・・・。
少し前から考えていることがある。Aが仕事で辛いときにそばにいられないこと。愚痴も満足に聞いてやれないこと。俺がそれがたまらなくもどかしかった。

増田「ねぇA」

夢を叶えて頑張るAも大好きで踏み出せずにいること。

増田「東京に来ない？」

『来月のイベントには行くよ？』

増田「そうじゃなくて」

彼女の声を遮るように言う。

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