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途中でもう私は力を使い果たしてしまって、ただただされるがままだったな、って反省しながら加藤さんにくっついてる。
さっきよりも雑な感じで加藤さんがぎゅって肩を抱き寄せてくれるのに体を任せる。
少しだけ残った理性はもちろん恥ずかしがってるけど、もう体が動かないの。
目が開かない。
加藤さんがおでこにキスしてくれる。
瞼と、頬骨の上をスタンプラリーするみたいに辿って、こめかみに触れる唇はあったかい。
「……なんか変な感じ」
「……へん、」
やっと返事したけど、返事になってないな。返事もできない上、されるがままになっちゃって申し訳ないです、と思って謝る。
「……すみませ……」
「謝るんだ?」
くすくす、って加藤さんは楽しそう。
私は金縛りにあったみたいに体が動かない。
「Aってこんなふうになっちゃうの?いつも?」
いつも、ってわからないよ。
加藤さんとこんなことをしたのは初めてなのに。
言い返したくても無理で、本当はちゃんと服を着直したいのにそれも無理で。
そのまま眠ってしまった。
起きたら加藤さんは隣で寝てた。
服を着てないことを思い出して、慌てて起き上がる。
そっと服を拾ってベッドを抜け出してシャワーを浴びた。
加藤さんと寝て起きてシャワー浴びてること自体の衝撃に腰が砕ける。
昨日のことを思い出して、ひゃーって声にならない声が出そう。がまん!
髪をきちんと乾かしてから戻って、ダイニングの椅子にかかってたおしゃれジャージを見つめる。
昨日の夜、悲しい気持ちでこのジャージを見つめたのが嘘みたいだ。
ベッドに戻ったら、加藤さんはうつ伏せになって目を開けてた。ぼーっとした顔でこっちみてる。
「……おはようございます」
「……ねむい」
「二度寝してどうぞ」
「……ん」
加藤さんは曖昧に返事した。
ねむい加藤さんかわいい。
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます!いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております!主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています! (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね(;_;)よかった、、、! (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます!増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、? (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◯じぇにー◯ | 作成日時:2019年11月5日 21時