REBORN † 愛してるから、明日へ向かって (ページ17)

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『じゃぁ、A。また今から小僧と話するから……』

「……うん」

過去から来たばかりの赤ん坊が、一体どれだけ自分に置かれた状況を理解しているのかは分からない。まぁ、彼のことだから、愚直な決断は下さないだろう。

心配だな……。行ってあげられたらいいけど、そういうわけにはいかない。

『なぁ、A』

「うん」

頷いた。言われることがわかっていたから。

『愛してる』

「……僕も、」

もう何万回繰り返しただろうか。愛の言葉の応酬を。

「好きだよ。愛してる」

『今すぐ会ったら、抱き締めてキスしたいくらい……好き』

「いいよ。しよう……その続きはベットの中で。まぁ、アイツを倒した後にね」

『あぁ』

僕は指に嵌めている指輪を、天に掲げた。指輪は太陽の光を浴びて、円形に輝く。

匣兵器用のリングじゃない。……エンゲージリングだ。

僕が愛する人のためにつけた指輪が、僕の左の薬指を飾る。この輝きが眩しくて、僕は目を細めた。

『で、結婚しよう。全部終わったら……絶対』

「うん」

結婚。付き合い始めた頃は、したくなかったけど……。

今はしたい。彼になら、縛られたって構わない。

『…ごめん。時間だ』

「うん……。こっちも」

前方から彼女が歩いてくる。町についてから別行動をしていた、この旅の同行者だ。

「じゃぁ、またね……武」

『おう！』

またねって、そんな言葉。しばらく“またね”なんてないのに。

電話が切れる。ツーツーと機械的な音が、耳に焼けつく。

もう戻れない。彼と話せるのは……もしかすると最後かもしれないな。

そう思うと、とてつもなく寂しかった。

†

彼女こと、クローム･髑髏は僕を見付けると、小走りで近付いてきた。

「待たせた……？」

「いいや？それより、収穫はあった？」

そう聞くと、彼女は静かに首を横に振った。

髑髏は探している。

何処かに消えてしまった犬と千種という男二人を。

あちこちの国を飛び回る僕についてきて、全国を探しまくる。

しかし、不幸なことになかなか見付からないのだった。