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天気予報ではもちろん雨などとひとつも言われていなかったため、折りたたみの傘すら持ってでなかった彼女は、路地裏から出て、猫を抱えたまま、シャッターが下りた店の雨除けの下に入り、雲を見上げた。

「どうしよう…、濡れて帰ったなんてバレたら、お父様に怒られちゃう…」

 静かに怒る父の顔が容易に想像できたとき、彼女の前を一台の自転車が通り過ぎた。
 驚いて、それを視線で追いかけると、自転車は先ほどまで自分がいた路地裏の入口に止まり、運転手はその中へと入っていった。
 程なくすると、運転手は慌てるように路地裏から出てくるなり、大きな声を出した。

「りんたろー!凛太郎、どこー!」

 聞き覚えのある声に驚いた彩希は運転手の顔をよく見てみると、間違いなく岡田奈々であった。

「岡田さん!?」

 思わず声を出してしまった彼女に気づいた奈々も、一驚の声を上げた。

「え、む、村山さん…?てか、凛太郎!」

 その名前が自分が抱く猫を指していることに気づいたのは、奈々の姿を見て思考が止まった後、我に戻ってすぐだった。

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設定タグ:村山彩希 , 岡田奈々 , 百合   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:神楽リュウ | 作成日時:2019年10月17日 7時

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