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ー両面宿儺ー ページ5

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東京から新幹線で2時間弱。
隣の座席で何やら熱心に自分のスマホをいじるA。



(なにやってんだ……?)



伏黒がそっと横目で観察すれば。
画面と睨めっこしたと思えば眉尻を下げ、そしたらぱっと嬉しそうに顔色を明るくした。

傍から見れば千尋はあまり感情を表に出す方ではない。
つい先日まで、何を考えてるか分からない生意気なやつだと思っていたが、実は思っていることはいろいろあるみたいで。
よくよく見れば、案外綺麗な顔立ちして……



「あの」

「……なんだ」

「これ、」

「……食べたいのか」

「うん」





……やっぱり訂正。
こんな奴とまた二人っきりで任務なんて御免だと、伏黒はひとり頭を抱える。

そして、Aが見せてきた牛タンの店を探している自分にも、心底嫌気が指した。






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01ー両面宿儺ー









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「……百葉箱!?」



静まり返った構内に、伏黒の声だけが響いた。



「そんな所に特級呪物保管するとか馬鹿過ぎるでしょ」



スマホを耳に押し当てたまま伏黒がスタスタと進む後を、Aもついて歩いた。

電話の相手は五条先生だ。
つい6時間前の話。授業終わりの教室に、爽やかな笑顔の五条先生が入って来るや否や、こう言ったのだ。

『今から任務だよ!二人で!仙台までよろしくぅ!』


任務内容も聞かされず、泊りになるからと慌ただしく準備させられ新幹線に揺られてここ、宮城県仙台市の‟杉沢第三高校”に二人はやって来ていた。





どうやら今回の任務は、高校に魔除けとして置かれていた呪物を回収する、というものらしい。
しかもその呪物が、特級に分類されるとても危険なものだとか。


伏黒がその特級呪物が置かれているという百葉箱の扉を開けた。





「……ないですよ」

「……?」

「百葉箱空っぽです」




額に青筋を立てた伏黒が、ぶん殴りますよ、と電話の相手の教師に暴言を吐いたところで通話は一方的に切られた。



(物騒だな、この人……)



伏黒の身体越しにAも百葉箱の中を覗く。




「……ないね」

「そう言ってんだろが!」







これが、Aたちの運命を大きく狂わせる出来事の始まりだなんて。
この時は微塵も思っていなかった。







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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 伏黒恵   
作品ジャンル:アニメ
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早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時

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