17 ページ21
.
呪物の呪力が大きくて。
上から強い呪力が押し寄せるのに反応が遅れた。
気がついた時にはもうグッと肩を強く押されていて。
「逃げろ」
目の前の伏黒恵が砂煙に巻かれて。
これ、初任務の時と同じ_____________
「伏黒!」
伏黒恵の式神・玉犬に引っ張られた虎杖悠仁が声を上げる。
(この感じ……)
視界が晴れて、天井を突き破った正体が露わになる。
「……!」
〈 お おおおっ…… 〉
(ラグビー場にいた2級呪霊!)
放課後の人っ子ひとりいなかったラグビー場のトカゲのような容姿をした呪霊が、呪物の強い呪力に興奮状態のその目をギラつかせて、伏黒恵の身体を掴んでいた。
伏黒恵が印を結ぼうと手を動かした刹那、呪霊は伏黒恵を壁へ思い切り投げつけた。
「がっ……」
伏黒恵が息を詰まらせて、後ろで玉犬が影に溶けた。
「おい!」
動けない私を置いて、虎杖悠仁が叫ぶ。
次の瞬間には、伏黒恵と呪霊が校舎の壁を突き破って、目の前に夜空が見えた。
(また私は、何も……)
何もできない
一段下の階の渡り廊下の屋上へ身体を打ちつけた伏黒恵が、フラフラとその身を起こす。
もう一度印を結ぼうとしているのか、持ち上げた腕を胸の前で交差させるが、グラつく頭がそれを解さない。
(ダメだ、このままじゃまた)
硬直した私の横で、女子生徒をそっと寝かせた虎杖悠仁が飛び出した。
「あ、」
虎杖悠仁が呪霊の頭部を素手で殴りつける。
呪力なしの力でも、呪霊の動きを止めるほどの威力。
(あの呪霊、夕方見つけた時は2級だったけど、1級くらいにレベルが跳ね上がってる……)
「虎杖やめろ!」
「それじゃお前が死ぬだろーが!」
虎杖悠仁の身体が呪霊に引きずられて、宙を舞う。
空中で器用に体制を整え着地、呪霊の攻撃を見事にかわすその動きが、素人には見えない。
「呪いは呪いでしか祓えない!お前じゃ勝てないんだ!」
「っ、」
伏黒恵の言葉が木霊する。
呪いは、呪いでしか祓えない。
負の感情は、負の感情でしか拭い取れないというのか。
.
420人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
早瀬モモコ(プロフ) - リリリンゴさん» リリリンゴさんコメントありがとうございます!とても励みになります!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします!! (2021年10月16日 21時) (レス) id: 8442258d5b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年10月13日 23時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
リリリンゴ - シリーズ最初から読みました!面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2021年10月13日 2時) (レス) @page6 id: 5191a43a7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:早瀬モモコ | 作成日時:2021年10月12日 1時