き み な の に〈T.Y〉５ .

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藤ヶ谷さん side
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もうそろそろ、Aから連絡が着てもおかしくないのに…



そう思って電話をしたら、どこにいるかも分からずに…玉とまだ一緒に居ると言った。




本当はむちゃくちゃムカついて、




藤「なにしてんだよ！！さっさと帰れよ！」




って、言いたい。


言いたいけど言えねぇ。




情けないかな…？


どうしてこんなにもAになると、弱気になってしまうんだろう？




ねえ、A。


今、Aの頭の中には、誰が映ってるの？


誰を想ってるの？



俺？


それとも、玉？




どこにいても、なにをしてても、俺はずっとAのことばっか考えてるよ。




ねえ、A。



俺、情けないけど苦しいわ。





Aが俺を見るとき、どこか本当は俺を通り越して玉を見てるような気になんの。




俺だけ見てよ。




俺がAを想うのと同じくらいに、俺だけを見てよ。





なにも出来なくなる前に、Aの再び連絡をした。




信用してないとか、そんなんじゃない。




1分でも1秒でもいいから、玉と早く離れてほしい。






呼び出し音が聞こえるだけで不安。



早く出て？ねぇ、出てよ。





「もしもし」

藤「A」

「…藤ヶ谷さん？どうしたんですか？」

藤「会いたい…」

「…え？」

藤「今すぐ会いたい」




Aは少し間を置いて




「あっ！タクシー来ました！」


藤「え？」


「一度家に帰りますね！それから向かいますよっ」


藤「え？ど、どこに？」


「もちろん藤ヶ谷さんの家に！」




Aは、俺が思ってる以上に俺のことを想ってくれてるのかもしれない。




藤「ううん、大丈夫だよ、ありがとう」

「え？」

藤「玉と気を付けて帰ってね。もう寝るわ。おやすみ」

「藤ヶ谷さん？」

藤「帰ったら一応連絡して？ね？」

「…分かりました、また連絡します」




情けないほどすきだけど、



溢れそうなほどすきだから、



Aの想いが少しでも、俺の溢れる想いを足せば、




それでいいのかもね。




玉と居るのに、俺に会いにきてくれようとした。


その気持ちだけで、今は充分だよ。

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