５５（Fside） ページ8
ソロの仕事の帰り…
俺は佐藤さんのカフェを訪ねていた
清の言葉
『北山くんの反応が弱くなってる』
その真相を確かめる為に…
「実は…その事は私も気付いていました。」
「じゃあ、やっぱり…」
「北山さんの体が、清くんの魂を受け入れてしまっている…」
聞きたくなかった言葉…
「もう……手遅れ、って…こと、ですか…？」
言葉が詰まって…うまく出せない…
「いえ。まだ、多少の反応はありますから。…ただ…それほど時間は…長くないと思います。」
目眩がした
宏光が、俺にガンを告白した時と同じ…
座っているのがやっと…
「藤ヶ谷さんっ！」
「……だい…じょうぶ…です…」
「少し、横になりましょう。」
佐藤さんが俺の体をそっと支え、横にならせてくれた
「…お願いです。このまま、宏光に会いに行かせてください。」
「……」
「宏光と話をさせて下さい。俺はどうなってもいいから！」
「藤ヶ谷さん…」
「お願いします！」
縋りつく俺の腕をそっと外し、佐藤さんがゆっくりと首を振る
「危険すぎます。弱った魂は、強い魂を引き寄せてあの世へと連れて行ってしまう事がある」
「構わないって言ってるでしょう！？俺は宏光と一緒なら…」
「ダメです。私は…皆さんの所に、藤ヶ谷さんをきちんと返す義務があるんです。」
「……」
「それに…北山さんに言われています。藤ヶ谷さんを危険な目には会わせないで欲しいって。」
もう…会えないのか…宏光に…
もしかしたら、もう二度と…
「…ほんの…少しだけでも…」
諦められない
宏光は…
一生を共にしようと誓った人…
死さえも共にしたいと…俺が願った人…
「お願いします…。」
これで最後と佐藤さんの腕をぎゅっと掴む
佐藤さんは、悲しそうな目で俺を見つめると、ふぅ…と小さくため息をついた
「…分かりました。でも…少しだけです。私が危険だと思ったら、すぐに藤ヶ谷さんをこちらに呼び戻します。いいですね？」
「……はい。」
どんなに一瞬だっていい
宏光に会えるなら…
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作者名：MISA
| 作成日時：2015年2月5日 11時
