君を守りたい Part2 (ページ4)

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５１（Fside）ページ4

幸子さんは、一つ一つ丁寧に光子さんとの思い出を語ってくれた

戦時中、同じ工場で働いていたこと

よく一緒に家に帰っていたこと

笑顔の可愛い優しい女性だったこと…

幸子さんの口から語られる思い出話を聞くだけで、光子さんの人柄が手に取る様に分かった

「あの……光子さんには、婚約者がいたと思うんですが…」

聞こうか聞くまいか…迷っていた言葉

清も聞けなかったことを渉が代わりに聞いてくれた

「ええ。…確か……清さん…だったかしら…」

幸子さんの口から清の名前が出た瞬間、清が涙を我慢できないように泣き崩れた

「もしかして…あなた……清さんのお孫さん？」

「……はい。そうです。」

涙で答える事の出来ない清の代わりに俺がそう答えた

本当のことを言えない清

これくらいの嘘は許されるだろう…そう思った

「清さんは…？」

「…残念ながら」

「そう…」

幸子さんは、悲しみを隠せない表情で目を伏せた

そして、涙を堪えながら話してくれた

「みっちゃんね、いつも清さんの話ばかりしていたのよ。『戦地に行ってしまったけれど、彼は必ず帰ってくる。帰ってきたら結婚するんだ』って。」

光子さんは…ずっと清を待ってたんだ…

「じゃあ、光子さんはずっと東京で彼を待ってたんですか？」

俺の問い掛けに幸子さんは小さく首を振る

「戦争が酷くなってね、私たちは皆、地方へ疎開することになったの。」

「じゃあ…」

「光子さん、最後まで東京で清さんを待ってるって言ってたみたいだけど…。」

「疎開先へは行かなかったんですか？」

「私は彼女より先に親戚の家に行く事になってね。結局彼女がどうしたかは知らないのよ。」

「そうですか…」

「でも…当時、東京はとても危険な状態だったから…おそらく疎開してると思うわ。」

「……もし、疎開してるとしたら…」

「…神奈川に親戚がいると、言っていた気がするけど…」

「神奈川…」

「彼女ね、私の疎開が決まった頃に、体を悪くしていてね…。もしかしたら、どこかの病院に預けられたかもしれないわね…」

清の知らなかった事実が、一つ一つ語られていく

清は、当時を思い出すように涙を流しながら幸子さんの話に耳を傾けていた

新たな可能性と絶望…

光子さんは…見つかるんだろうか…

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