７３（Fside） ページ26
「ミツっ！！！」
渉の声に、宏光の顔を見つめた
宏光の目がゆっくりと開かれる
「宏光…」
宏光は俺の声に反応するように、小さく瞳を揺らした後、ゆっくりに俺の方に顔を動かした
「太輔…」
「宏光っ！」
「……会いたかった…」
ずっと聞きたかった宏光の声…
俺は涙で何も言えなくて…ただぎゅっと宏光の手を握りしめた
宏光は、俺の手を握り返すと、ゆっくりと皆を見渡した
「皆…ありがとう。」
「ミツ…お帰り。」
「…ただいま。」
皆と言葉を交わし合う宏光が…
「んふふ。横尾さん、泣き過ぎ(笑)」
「ミツぅー(号泣)」
「ミツっ！横尾さんのお陰で帰って来れたんだからね！」
「ニカ…相変わらず、声でけぇ…」
「ミツが…しゃべってる…(泣)」
「あはは。宮田、やっぱうぜぇ(笑)」
皆と笑いあってる宏光が…
ずっと見たかった…
「…皆が望みを叶えてくれたって…清、言ってたよ。」
「え…？会ったの？」
涙でぐしょぐしょの俺達に宏光が微笑みながら言う
「うん。清、すっげぇ喜んでたよ。俺、清の笑顔初めて見た。」
「そっか…」
「ってか、俺、あいつの名前が清だって、別れる時に初めて知ったからね(笑)」
嬉しそうな宏光の笑顔
「それからね…」
その笑顔がさらに輝く
「清、光子さんに会えたよ。」
「ホント！？」
「うん。光子さんが清を迎えに来てね。２人で手繋いで天国に昇って行った。俺、それ見てたらさぁ、すっげぇ感動しちゃって、泣いちゃったよね(笑)」
「そっかぁ、会えたんだぁ！」
清…やっと幸せになれたんだな…
…って、おい
なんか引っかかる…
「宏光。…お前まさか…清を見送ってて戻って来るの遅くなったんじゃないだろうな？」
「？…え？そんなに時間経ってんの？」
「ええ、もう1か月経ってますけど。」
「…えぇぇっ！？そうなの？？？」
「そうなの？ってこっちのセリフだよ、ミツっ！」
「いや…その……あっちではあっという間の出来事だったんだよ？けど、起きてみたら結構時間たってたよねぇ…てへっ♪」
「もう！ミツったらっ！俺らめちゃくちゃ心配したんだぞっ！！！」
「イテテテテっ！ごめん！ごめんってばっ！！！」
てへっ♪…じゃねぇし
殴られろ、殴られろ
皆、ホントに心配したんだから
賑やかな病室
幸せを感じている自分がいた
.
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作者名：MISA
| 作成日時：2015年2月5日 11時
