君を守りたい Part2 (ページ25)

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７２（Yside）ページ25

ミツが入院してもう１カ月

太輔はミツに会う為に、毎日病室へと通っている

ベッドの上には、何も変わらず穏やかに眠っているミツ

腕に繋がれた点滴からは、規則正しく栄養が送られているから、本当にミツは眠ってるみたいで…

意識が戻らないなんて他の人が見たら、信じられないと思う

「宏光、今日はいい天気だよ。…あ、そうそう、今日仕事でさ、ロケに行った店が宏光が行きたいって言ってた店でさ…」

まるで２人で話をしているみたいに、ミツに話しかける太輔

この景色も、もうすっかり見慣れてしまった

「太輔。」

「あ、渉。」

あの日から、太輔のキラキラとした笑顔は消えた

俺達に向ける笑顔も、仕事で見せる笑顔も、本当の笑顔じゃない

「はい。弁当作って来た。」

「うわっ！うまそうじゃん。」

皆、その事を分かっていて、口に出すやつはいない

自然に…今まで通りに…

太輔を見守っている

「ミツ、ただいまぁ！」

「あれ？今日、ガヤさんオフ？」

「いや。午前中、ロケ行って来た。」

「そっか。ね、聞いて！今日さぁ…」

ニカも仕事に復帰して今日は舞祭組での仕事を終えてきた

「玉ももうすぐ来るってさ。」

「そっか、久々だな。７人揃うの。」

しばらくして玉が合流して、集まった７人

「宏光、凄いな。今日は全員揃ってるぞ。」

太輔がミツに微笑みかける

けれど、ミツは…天使のように眠ったままだ

「宏光…。皆にさ、いつもの笑顔、見せてやってよ…。」

太輔の姿に涙で視界が歪む

「そうだ。俺ね、今日宏光にプレゼント買って来たんだ。」

太輔がポケットから出したのは小さな箱

その箱を握りしめたまま、太輔がミツに近付く

「宏光…早く目覚まして…」

そう言って閉じたままのミツの瞳にキスをした

「…『太輔』って、俺を呼んで…」

そして、唇にキス

「…この手で…俺に触れて…」

そして最後に掌にキスをすると、ゆっくりと箱から指輪を出して左手の薬指に嵌めた

「結婚しよう。そして、ずっと一緒にいよう。もう…離れたくない。………ね…宏光…俺にも…指輪、嵌めてよ…っ」

泣き崩れそうになる太輔の体を支えようとした時だった

指輪を嵌めた指がピクリと動き、ミツの瞼がゆっくりと開いた

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