６９（Fside） ページ22
「ずっとね、俺思ってたんだ。何か見えない力に動かされてるんじゃないかって…」
全てを話し終えた渉が静かに言う
「ニカが事故に遭って…あの病院に運ばれた事、清くんがニカを見つけた事、ミツが清くんに気付いた事、そして、清くんに体を預けた事…」
これまでの出来事を振り返るように語られていく
「佐藤さんに出会った事、幸子さんに会えた事、そして…幸子さんが、『みっちゃん』って光子さんを呼んだ事……これが全部偶然じゃなく必然だったらって…。」
そうかもしれない
俺達は、必死になって探してたけど、それも全部最初から…
「光子さん、まだ清くんを待ってるんだと思う。」
渉はそう言うと、清に一枚のメモを渡した
「光子さんが眠ってる墓地の住所だよ。…行ってみる？」
清はそのメモをじっと見つめていたが、渉の顔を見ると、小さく首を振った
「ありがとうございます。…でも、その必要はありません。僕が向こうに行けば光子に会えるんですから。」
清が…
笑っている
俺達に出会ってから、一度もこんな笑顔は見た事がなかった
そして、俺達の顔を見つめると
「皆さん、本当にありがとうございました。皆さんに会えて良かった。…本当に…心から感謝します。」
そう言って頭を下げた
「清くん…」
皆ももう、涙を止める事が出来なかった
そして泣きじゃくる俺達に清は微笑んだ後、俺の傍にやって来てこう言った
「…ガヤさん、佐藤さんの所へ…連れて行ってくれますか？」
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作者名：MISA
| 作成日時：2015年2月5日 11時
