君を守りたい Part2 (ページ21)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:151,005 hit

６８（Yside）ページ21

何も言わず、じっと手紙を見つめる清くん

そう、あの手紙は、死の間際に光子さんが清くんに宛てた手紙

俺は、中身を読まなかったけれど、この手紙をずっと持っていた光子さんの身内が、清くんへの想いが綴られていると教えてくれた

「光子さんね、清くんが戦場で死んだと聞かされてたみたいだよ。」

「え…？」

「多分…東京で清くんを待ってるって言い続けてた光子さんに…誰かが嘘をついて神奈川に連れて来たんじゃないかって…」

「光子…」

「光子さんを…守りたかったんだろうね…」

「…はい…」

誰も悪くない

悪いのは戦争だ…

純粋に愛し合ってる恋人同士を引き裂いた戦争…

「ね…渉…。光子さんって…」

「そうだよ。俺もずっと気になってた。」

「ワッター、どこに行ってたの？」

ずっと黙って聞いていた皆が、太輔の言葉をきっかけに一気に話し始めた。

「初めに行ったのは…ミツの実家。」

「宏光の？！」
「ミツの？！」

皆の声が揃う

そんなに驚くかな(笑)

「資料探しに行き詰った時、視点を変えてみたんだ。ずっと…清くんの言葉が気になってて…」

「清くん…？」

「うん。清くんがニカの体を選んだ理由。」

「光子さんが…ミツに似てたって…あれ？」

「うん。もしかしたら、ミツに何か関わりがあるんじゃないかって…ホント小さな可能性だったけど、賭けてみた。」

「じゃあ…その時からずっと１人で…？」

「いや、ミツのお母さんが協力してくれた。ミツのお母さんね、実は何も知らなかったんだ。でも、親戚とか色々聞いてくれてね。そしたら、おばさんのおばあさん、つまり、ミツの曾おばあさんのお姉さんの名前が鈴木光子さんだった。」

「凄い…奇跡…」

「うん。俺も鳥肌立った(笑)光子さんにはもう一人妹さんがいて…。その人の息子さんがこの手紙を持っててくれたの。光子さんの婚約者がセイって人だったって、息子さん、ちゃんと覚えてくれてた。」

「ミツの曾ばあちゃんのお姉さんの妹の息子の…んああぁぁぁ！良く分かんねぇ！」

「俺も良く分かんないけど…とにかく凄いな。」

「だって、これって凄い確率だと思わない？」

そうなんだ

いくら身内だからって、ミツにとっては遠い存在

そんな２人がこうやって結びついてるんだから…

「ホント、奇跡だね。」

「でも…その奇跡を生んだのは…渉だよ」

太輔がそう言って笑ってくれた

.