５０（Fside） ページ3
渉の運転する車で、宮田が教えてくれた施設を訪ねた
そこはとても綺麗な施設で、マンションの様な作りになっていた
整理整頓されたワンルームの部屋で、彼女は真ん中に置かれた小さなテーブルの前にちょこんと座って俺達を待っていてくれた
「私に会いたいって電話してきたのは貴方たち？」
「はい。突然すいません。藤ヶ谷 太輔と言います。こっちは北山 宏光。」
「僕は横尾 渉です。」
「初めまして。伊藤幸子です。」
手土産の饅頭を渡すと、嬉しそうにそれを受け取って、俺達にもお茶を入れてくれた
彼女をじっと見つめている清
その表情からは、緊張と不安、そして期待…
色んな感情を感じ取れた
「早速ですが…お尋ねしたい事があって…」
春の太陽のように穏やかで温かい笑顔が俺に向けられる
不安と期待で俺の声も震えていた
「鈴木…光子さんという女性を…ご存じではないでしょうか…？」
隣で清がぐっと拳を握ったのが見えた
彼女は、少し思い出すような仕草を見せた後、窓の外を見つめる
それが何を意味しているのか分からずに、俺達はじっと彼女を見つめていた
薄っすらと上品に紅が引かれた唇が動く
「……知っていますよ。みっちゃんと、一緒に働いていました。」
“みっちゃん”
その名前が彼女の口から発された時、渉は瞳から涙を零し、清は彼女の手を握っていた
「…その、みっちゃんの事…教えて…くれませんか？」
清の言葉に、彼女は微笑み、清の手をそっと握り返した
「…あなたは…？」
「…僕は、光子の…………僕の祖父が…光子さんにお世話になって…」
清は…言いかけた言葉を呑んで、気丈に微笑んだ
彼女はそれに応えるように嬉しそうに微笑み、清に語りかけた
「そう。みっちゃん、とても優しくていい人だったものね。」
「……はい。」
光子さんと共に生きた２人
清が、宏光の姿ではなく、自分の姿で彼女に会えていたら…どんなに良かっただろう
そして…
『僕は、光子の婚約者です。』
そう言えたら、どんなに良かっただろう
宏光…
胸が…苦しいよ…
宏光に…
会いたいよ…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 449人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：MISA
| 作成日時：2015年2月5日 11時
