君を守りたい【狗巻棘】 (ページ28)

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嫌な予感がしたんだ、とても嫌な予感

Aが高専に来ること自体凄く珍しい

急に図書館に用事が出来たって言うのも可笑しい

「…これ、どういう事、あの日、本当は何があったの」

と同様を隠し切れない揺らいでいる瞳でこちらを見るAが言う

嗚呼、なんで

なんでいい予感とかは当たらないのに、悪い予感ていうものは必ず当たるのだろうか

「A、一旦落ち着こう、その資料を渡して」

と慎重にAに話しかける悟

情けなくも俺は何もかける言葉が見当たらないし、それは優太達も同じだった

それに皆はあそこに書いてある内容を知らない、俺は好奇心に負けて叱られるのを覚悟して昔読んだが、読んだ後絶対にこれを読ませまいと誓ったのに

「ちょっと、待って、本当…なにこれ、どういう事」

「A、取り敢えずおいで」

とその本を取るために上ったであろう梯子の上に座ったままのAに言う悟

でも悟の言う事を聞くわけもなくただ座ったままじっとこっちを見る

「私は…私は？人間？それとも…」

「人間だよ、Aは人間だ」

「本当かなぁ」

と乾いた笑いを零すA

「本当だ、確かに優は呪霊だ、でもAはちゃんと人間だよ」

と言われるとAは梯子に座ったまま目を閉じた

「取り敢えずその資料こっちに頂戴」

「何、まだこの中に隠し事でもあるの」

「A、いい子だからそれ頂戴」

とまるで幼子をあやすように言う悟

それでもAは動かずただ目を瞑っているだけ

「A」

「黙って」

そう言ったAの声は低くてそしてAを纏う呪力が次第に重たく忌々しく揺らめきだす

見たことない、感じたことのないAの呪力に少し戸惑う

「A、落ち着いて、じゃないと呪いに飲み込まれる」

「分かんないもう、何がなんなのか、わかんないよ、もうわかんないよ！」

とAが叫ぶと同時に崩れ落ちるA、そんなAを咄嗟に受け止めに行く

頭より先に体が動くとはこういう事だろう

「夜叉の印…なるほどね」

と悟がAの頬に現れた家紋みたいなのを見て呟く

何が成程だ、Aが倒れたのに第一声がそれかと腹が立ったが今はそれどころじゃない

「おい悟、Aどうしたんだ」

「こうなると知っていたのか？」

とパンダと真希が睨みを利かしながら問う

一緒に高専に通ってなくても大切な仲間だ