キミとのキセキ (ページ10)

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「……あの、人違いだったら本当に申し訳ないな、と思うんですが……もしかして…、ヒロ？」

クラスに入って扉のすぐ近くから、クラスの真ん中のいかにも明るそうな男子とコミュニケーションを取ろうとする私。

…いや、大分チャレンジャーだし、頭いかれちゃったかも。それに、どうしよう、これでヒロじゃなかったら私大分初日からやらかしちゃった系だよね、うん。

ヒロは、私の従兄弟で、お母さんの双子の姉から生まれた子なんだ。

年も一緒で、誕生日は半年違ったけど、意外とお互いに近隣に住んでたから、1ヶ月に1回以上は会っていたし、最近は受験のせいで会えていなかったけど、LINEでのやりとりはしていたんだよね。

お互い受験大変だね、みたいなLINEは送り合ってたけど、志望校は何処？みたいなのはなぜか聞かあわなかったから、私たちはお互いがどこの学校に合格していたか、って言うのは知らなかったんだ。

でも、あの見た目の中に少しだけあるチャラさや、優しさや賢さを兼ね備えた顔立ちは、絶対にヒロ！

…だと思う。

「……え、もしかして大分見た目変わったけど…A？」

クラスの真ん中の方から、少し戸惑いのある声でそう私に問いかけてくる。

やった、気づいてくれた！

「…そう！私、Aだよ！！A！！」

そう言って、お互い、自然に駆け出していた。

扉と輪の近くで、お互いに笑顔をこぼす。

まるで小学生かのように、久々の再会を私たちは喜んだ。

…もともと、2人とも精神年齢幼稚園児くらいだから、っていうのはあったかもしれない。

久しぶりの再会に人目を気にしていなかったものの、少し落ち着いてから、私は周りからジロジロと見られていたことに気づく。

なんか、急に、こんな人気のヒロに知らない女子が駆けて行ってたら、みんなそりゃ気になると思う。

ヒロはみんなに優しいし。

みんなに気づいたのかは分からないけど、ヒロは、みんなに私のことを紹介してくれたんだよ。

「あ、紹介するよ。

こいつ、俺の従兄弟の花瀬A。

年は当たり前だけど同い年。

こいつ、めちゃくちゃ物知りだから、俺歩く広辞苑、って呼んでんの。笑

でも運動もできちゃうし、もちろん秀才だから、良かったら仲良くしてやって。」

そしたら、ヒロの周りの人たちもよろしくね、！みたいに言ってくれて。

………すごい！私、友達できちゃったんじゃない！？

その間、すごい有頂天な気持ちになった。