キミとのキセキ (ページ4)

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それから、家族の行ってらっしゃい～、の声が消え、玄関の扉が閉まったのを確認してから、私は歩く速度を早めた。

エレベーターまで繋がる通路からさしこむ陽が、私の腕についている時計の桃色の文字盤を輝かせる。

腕時計が指してる時間は、電車発車時刻の12分前を指していたけど、私はどこか不安で。

私の家はマンションで、駅まで徒歩5分もかからない。

両親は、駅の近くなのに、静かで通勤通学がしやすいから、って言う理由でこの家を買ったんだって。

お隣さんとも、仲良しで、そこの家の子供が私と同い年なんだけど、幼馴染っていう関係。

…最近は、ちょっと色々あってその子のこと避けてるんだけどね。

まぁ、私の事を駅までの道のりの中で足止めするもの、と言えばエントランスを出てすぐにある交差点くらいで。

…その気になれば3分ちょっとで行ける距離。

じゃあなんでそんなに不安なのか、って？

……まぁ、自分で言うのもアレなんだけど、私って結構重度の心配性なんです…。

学校の持ち物とか、最低でも3回以上忘れ物がないか確認しないと、不安すぎて夜も眠れなくなっちゃうような感じ。

だから、5分前行動は絶対厳守だし、なんなら、5分以上前についていないと不安。

そして、めちゃくちゃ人見知り。

…そう、御察しの通り、凄く引っ込み思案なんですよね。

今も駅まで着いて、改札を越え、ホームにも電車がつく5分前には着いていたのに、電車が遅延しちゃうんじゃないか、って不安に思ってる。

……あっ！！！

ダメダメ、私、こんな無駄に不安になるのは中学校で卒業するんだった。

思考は性格を作るとか言うことが前読んだ本に書いてあったから、今までみたいなマイナス思考は卒業して、プラス思考になるんだもん。

それから、ふと視線を右側にずらすと、隣に私とおんなじ制服を着た女の人が立っていて。

その人は、同い年か、先輩かは分からなかったけど、遠目から見ても分かるくらいお化粧をしていて、スカートもめちゃくちゃ折って短くしていたの。

…明るそう！！
クラスの中心にいそう！！

あのっ、て言って声を掛けようか迷ったけど、私には流石にまだハードルが高すぎてやめた。

それから、オキニの音楽プレイヤーを鞄から取り出し、イヤフォンをつけて音楽を聴いていると、電車がホームに到着したのが視界に入ってきて。

だから、私はイヤフォンを外して電車までの道を歩き出した。