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潤がクローゼットの前で座り込んでいた。
何をしているんだろうって近づくと、愛おしそうに何かを撫でていた。
それには見覚えがある。
あれは、私の服だ。
私に気づいた潤が振り返った。
「なにしてるの？」
「ん・・おいで」
潤に呼ばれて隣に座る。
そこには、段ボール箱があって、中には私が犬だった時に使ってた、服やおもちゃや大好きだったブランケットがあった。
「これ・・」
「俺ね、前に犬を飼ってて。これはその子の使ってたものなんだよ」
潤が私に、『私』の話をしてくれるのは初めてな気がする。
「その子ね、Aにちょっと似てるんだ」
「え？」
「俺が帰ってくるとすっげー嬉しそうに走ってきて、おかえりってしっぽ振ってくれて。Aも俺が帰ってきたら、すっげー嬉しそうに走ってくるだろ。たまにお尻にブンブン振ってるしっぽ見えるもん」
「えっ？」
私は振り返って自分のお尻を見た。
「あははっ」
そんな私を笑いながら、引き寄せて抱きしめるから、私は潤の腕の中にすっぽりと納まる。
潤が箱からまた一つ取り出した。
公園に行くときに使ってた結ばないリボンだ。
「Aの足に傷があるだろ？」
「うん」
潤の優しい手が、私の足の傷に触れる。
「Aにも、あ、その犬も名前がAっていうんだけど。・・同じところに傷があったんだ」
「そう・・」
「俺ね、その傷が好きだったんだよね」
「えっ？傷が？」
「そう。Aにその傷があったおかげで、俺はAに出会えたんだよ」
潤・・・そんな風に思ってくれてたんだ。
そう思ってると、潤が唇をかみしめて、なんだかつらそうな顔をした。
持っていたリボンを、ぎゅっと握りしめてる。
「潤？どうしたの？」
「いや、何でもないよ」
言いながらリボンを箱の中に入れ、段ボールのふたを閉める。
と、急に思い立ったように
「A、公園に散歩に行こうか。犬のAも、散歩が大好きだったんだよね」
さっき見た、潤のつらそうな顔が気になったけど
潤が、ぎゅっと私の手を握って
「行こう」
って笑ってくれたから
「うん。行こう」
私も笑顔で答えた。
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ちな(プロフ) - ホクさん» ホクさん。お返事遅くなってごめんなさい。嬉しいお言葉をたくさんありがとうございます。楽しんでいただけたようですごく嬉しかったです。 (2021年4月14日 13時) (
レス) id: c148e10e11 (このIDを非表示/違反報告)
ホク - とても感動しました。他にはないストーリーだったのでとっても面白かったです！ (2021年3月29日 9時) (レス) id: 4442ae36ba (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - ゆーみんさん» ゆーみんさん。お返事遅くなってごめんなさい。いい作品と言っていただけて、本当に嬉しいです。元気出ました。ありがとうございました。 (2020年5月26日 18時) (レス) id: 39df0fabf1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - 泣けてしまいました！凄くいい作品です！違う作品でも頑張ってください♪ (2020年4月28日 9時) (レス) id: b7e3681104 (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - rikapika18さん» rikapika18さん、はじめまして。めちゃくちゃ感動したとか、私の方がめちゃくちゃ感動で、すごく嬉しかったです。楽しんでいただけたならよかったです。本当にありがとうございました。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: 39df0fabf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちな | 作成日時：2019年6月14日 0時
