えがおの魔法 ページ40
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「……やめだ！」
「ええっ、だってまだ課題が……」
「違う。君とペアを組むのはやめだって言ったんだ」
「ええ……！？なんで！？」
呪文学の授業。いきなり席から立ち上がって怒り出したマルフォイくんに、私は困惑して目の前の教科書と彼の顔を見比べた。
今は『元気の出る呪文』の練習中。アズカバンからの脱獄犯とか吸魂鬼の警備とかで問題が多い最近、フリットウィック先生がみんなに教えている魔法の一つだ。
マルフォイくんは苛々したように腕を組んで、「僕は正しく呪文を唱えてるはずだ」と言った。
「昨日寮の談話室でクラッブに試したときは上手くいったんだ」
「うん」
「でも君がペアだと何故か毎回失敗する」
「うん」
「つまり君が原因だとしか考えられない」
「何か変なズルでもしてるんじゃないだろうな？」と訝しむマルフォイくんに、私は「してませんー」と口を尖らせる。
「うーん、でもなんでだろう……？」
「私がきみにかけるときはいつも大成功なんだけど……」
「……」
「にこにこの笑顔になるし……この前は笑いが止まらなくなってたし……」
「ふふ、かわいかったなあ……」
普段の彼からは考えられないような、かわいらしかった笑顔と明るい声を思い出していると、マルフォイくんは噛み付くように「そういう話をしてるんじゃない！」と叫んだ。
「なんで君が呪文にかからないのかを聞いてるんだ」
「えー……」
そんなこと言われてもなあ……と困っていると、私はふとあることを思いついて手を叩いた。
「あ！」
「私ってマルフォイくんと話してるだけで楽しくて元気が出ちゃうから、かも？」
「……は？」
ぽかんとしているマルフォイくんに、私はにっこりと笑顔を浮かべて彼の瞳を見つめ返した。
「もともと笑顔でいっぱいだから、きっと呪文が効かないんだよ」
「……馬鹿の理論だ」
きみの存在が私にとっての『元気の出る呪文』だもん、とはさすがに照れてしまって言えなかったけれど。いくらマルフォイくんが私に魔法をかけたって、最初から幸せ気分の私がこれ以上笑顔になるのはむずかしいというものだ。
マルフォイくんは私から顔を背けて静かに椅子に座り直すと、ぶすっとした表情で頬杖をついた。
「えへへ、解決してよかったね」
「してない。なおさら君とペアを組むのはお断りだ」
「私はもっときみの笑ってる顔が見たいからやだ」
「こいつ……」
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ねこ(プロフ) - この出会いにありがとう さん の花言葉の意味がとっても素敵で相手のことをとっても大切に思っているのが伝わってほっこりしました(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡ 素敵な作品をありがとうございます.ᐟ.ᐟ (11月20日 0時) (
レス) @page44 id: 2eaa5d84c7 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - ぽんずさん» コメントありがとうございます！素晴らしい賞を頂けて嬉しいです…！笑 ぽんず様こそお身体に気をつけて、これからも更新を楽しみにお待ちいただけたら幸いです。 (2023年3月17日 22時) (レス) id: be1363d7b2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 初めまして！このお話の更新が出てるととっても嬉しくて毎話キュンキュンしてます！ホグワーツでこれがやりたかった夢大賞No.1ですありがとうございます！！！ご自愛ください！ (2023年3月17日 21時) (レス) @page46 id: 7bdddba4b2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 雨中と猫。さん» ありがとうこざいます！ほのぼの柔らかい雰囲気を目指して書いていたのでそう言っていただけてとっても嬉しいです…！遅筆ですが更新を楽しみにお待ちいただけたら幸いです。 (2023年3月2日 21時) (レス) @page8 id: be1363d7b2 (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 本当に今さっき作品を見つけて読まさせて頂きました新参者です……！マルフォイくんとの緩やかでほのぼのとしていながら心があったかくなるお話がめちゃくちゃ可愛くて素敵です！続き楽しみにしております、お身体壊さない様更新頑張ってくださいー！！ (2023年3月2日 21時) (レス) @page23 id: d60c007837 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハル | 作成日時：2023年2月26日 0時
