【ポケモンXY】君はいつだって 5 (ページ38)

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リュカの人柄ページ38

カルム視点

・・・俺は、バッチをゲットしたあとも、走り続けた。夜も、ずっとずっと走った。少しでも距離を置きたくて。少しでも、逃げたくて。

あんなのもう二度と見たくなくて。

カ「はぁっ・・・はぁっ・・・」

息が切れてもずっとずっと走った。・・・次の街についたのは夜中の２時。

カ「・・・ずっと・・・」

ずっと、隣に居たかった。俺の特等席は、お隣さんの隣だったはずなのに。・・・記憶がなくなったら、それも出来なくなるの・・・？

カ「そんなの・・・嫌だ！！絶対に！！！」

頭を抱えた。その場にしゃがみ込む。・・・こんな夜中だし、誰もいないのが救いだ。

カ「はぁっ・・・！俺は・・・ずっと・・・隣に居たかった・・・！！」

生暖かい雫が、頬を伝って、地面に落ちるのが分かった。何度も何度もポタポタ落ちた。

カ「・・・俺・・・」

・・・もうポケセンに行く気力もないや・・・。

カ「はぁ・・・」

？『・・・こんな夜中にひとりで、何をやっているのかしら』

カ「！！」

？『心配するじゃない』

カ「・・・何で、こんなところに君が居るんだ？テールナー」

テ『・・・別に、それはどうでもいいことよ。とにかくベンチに座りましょ』

ぐいっ、と服を引っ張られる。何が何だか分からないまま、ベンチに無理やり座らせられる。

カ「・・・テールナー、俺・・・」

テ『知ってる。・・・分かってるわ。辛い時こそ、貴方は側に居なくちゃいけないタイプの男の子だから』

ストン、とテールナーが隣に座った。

カ「・・・主人の隣に居なくていいの？」

テ『・・・えぇ』

カ「・・・そう」

ふ、と空を見上げる。ムカつくほど星が綺麗だった。

カ「・・・はぁ・・・なんか、スミレさんの気持ちも分かった気がする。大切だから・・・渡したくないって。渡したくないから・・・」

テ『ここで負けちゃだめよ』

カ「・・・どういうこと？」

テ『ここで我慢しなくちゃ。・・・大丈夫。リュカは、記憶喪失の時に付け込んで仲良くなろうとする馬鹿野郎じゃないわ』

カ「・・・そう？」

テ『えぇ。・・・リュカはね、確かに手ごわいライバルかもしれないけど、ひきょうなやり方で勝ちたがる奴じゃない。分かってる、はずよ』

・・・そうかもしれないな。リュカさんはいつだって真っ直ぐだったし。

正面から正々堂々バトルを挑んでくる人だ。・・・そんなに、バカな人じゃ・・・ない。