prologue ページ2
窓からの春風に、ふわりとショートヘアが揺れる。
綺麗だな、と思った。
ピアノの前に座ったその表情は凛としていて、
……どこか近寄りがたいような雰囲気さえ醸し出している。
指揮者を見詰める大きな瞳は、陽光のせいか透けるような茶色に見えた。
指揮の振りに合わせて紡がれる音は、奏者を表すかのように美しく、力強い。
和音も、複雑なメロディーも、一音も濁すことなく弾きこなしている。
生徒たちの斉唱が全く耳に入らないほど、俺はそのピアノ伴奏に聞き惚れていた。
音楽の知識はほとんどないが、この演奏がすごいものだということくらいは分かった。
音色に誘われるように、薄桃色の花びらが一枚舞い降りてくる。
旋律に合わせてくるくると踊った花びらは、やがて静かに着地する。
それと同時に演奏が終わり、俺はもう一度伴奏者を見た。
目が合った、ような気がした。
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紫苑(プロフ) - うちの先生に地味に似ててめっちゃドキドキする、、! (2019年10月12日 0時) (レス) id: 97657b2818 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - 続きを楽しみにしています! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 53e0d56435 (このIDを非表示/違反報告)
みかづき(プロフ) - すごい面白いです…!更新楽しみに待ってます! (2019年4月21日 21時) (レス) id: 46965b36a8 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 忙しいとは思いますが更新楽しみに待ってます (2019年1月11日 14時) (レス) id: f6179e8ebe (このIDを非表示/違反報告)
eightwest1112(プロフ) - 続き気になります!更新期待してます(><) (2018年5月26日 10時) (レス) id: d4fd760440 (このIDを非表示/違反報告)
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