【名前変換オリジナル】先生こーりゃくっ！！ (ページ11)

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9話ページ11

「……ん…？」

見える色の9割は白。
保健室か。
…保健室！？ちょっと待て今何時！？
がばっと身を起こすと、深淵先生がいた。

「…おはよう、A」

初めて名前呼ばれたな。
というふざけた思想を追い出して時計を見る。

「8時…8時！？夜ですか！？」
「夜だな」

真面目な顔でうなずく先生。ちょっと天然なんだろうか。
…それにしても、こんな時間に家帰るのやだなー。寒いし。

「先生ー、もう今日家に帰りたくない」
「……それは先生と一晩保健室で過ごしたいってことか？」

読めない表情で言われた言葉を聞いて絶句した。冗談きついぜ。

「違えっ！！」

思わず言葉遣いが悪くなってしまった。いかんいかん。

「そうか。じゃあ帰るぞ」
「だって面倒くさいじゃないですか、帰るの」
「…そんなに保健の授業がしたいのか。しょうがないな」
「わかりました帰ります！！！」

先生は満足そうに微笑んで鍵束をクルクル回した。

「いい子だ。荷物持って外で待ってろ。鍵置いてくるから」
「…送ってくれるんですか」
「おう」

…意外に優しいんだな、と思ったけど黙っておいた。
なんか先生の印象だいぶ変わったな。…この人夜のほうがテンション高い気がする。
そんなことを考えながら荷物を持って外に出る。
空を見ると、仄かに光る銀色の月。満月だ。

「…何見てんだ？」

いつの間にか戻ってきた先生が私の隣に立つ。

「月です。超綺麗じゃないですか？」

そう言ってから口を押さえた。
…これじゃ告白じゃねぇか。
先生は私を見て楽しそうに笑う。

「そうだな」
「……」

何となく負けた気がして舌打ちをする。
…一緒にいてこんなに楽しい人には初めて会った。