17．おにぎり。 ページ17
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「失礼します」
私生活で何が起きようと、ちゃんと学校の授業は進むし、
私も、毎日学校ではちゃんと過ごしてた。
4月より暖かくなってきた季節も、何も知らずに流れていく。
少し掃除したのか、埃っぽさがマシになった小さな国語準備室に入ったら、
ソファに、顔までジャケットをかけた先生が寝ていた。
思ってたより私は、平気で暮らしてる。
平気で暮らさないと生きていけないって言うのもあるけど、
意外と今まで通りに生きてる。
最初の数週間だけは、辛くて悲しくて、寂しかった。
私が入ってきたことにも気づかず、寝息をたてる先生の隣にしゃがんで、
ジャケットからはみ出す茶髪を眺めて
持ってきたみんなのノートを膝に抱える。
「せんせ、」
「ん、」
少し動いた先生は、ジャケットから顔を出して
「……おはよ、」
と寝ぼけた顔で起き上がった。
「おはよって、お昼休みですよ。」
「ん〜水曜は二限ないから昼休みまで寝れるもん、」
まだ眠そうにしながら、膝にかけたジャケットのポケットを漁って、煙草を出した。
私は変わらず先生にパシられて、
まあ、少しそれを喜んでる節もある。
先生の煙草を吸ってる姿が見られるから。
「ノート置いときますね。」
とソファの前のローテーブルに置いたら、小さく寝起きの嗄れた声で「ありがと」と呟いて、
出した煙草に火をつけた。
「昼たべた？」
「まだです、」
「なにがいい、しゃけと、こんぶと、……ん、なんだこれ、」
ローテーブルの上のビニール袋を漁りながら
煙草を咥える先生が、少し薄暗い部屋の中でふわふわと動く。
「自分で買ったんじゃないんですか笑」
「適当にとったから」
「くれるんですか？」
「うん、あ、あとブリトー」
先生はブリトーが好き。
それは知ってるから、
「じゃあ、鮭おにぎり」
って言ったら、
「あ、ビビンバもある」
なんて言ってまだ袋を漁ってる。
「先生、いくつ買ったの笑」
先生は咥え煙草のまま、ローテーブルに鮭おにぎりとビビンバのおにぎりを置いて、
やっぱりいつものカフェラテを置いた。
立ち上がってデスクの上の灰皿を取ってきて、先生の前のおにぎりと交換して。
「お嫁さんみたい笑」
私がこういうことをすると、先生は決まってこう言う。
変に高ぶる胸が五月蝿いから、
言わないでほしい、なんて思いつつ、少し喜んでる自分がいた。
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憂(プロフ) - みやさん» みやさん。コメントありがとうございます。こちらの私情であるにも関わらず応援して頂きまして、本当にありがとうございます。これからも先生と主人公ちゃんをよろしくお願い致します( •̥-•̥ ) (2022年12月1日 9時) (
レス) @page40 id: 39a6e0a5de (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 憂さん、はじめまして せつと申します。人生最大ゴタゴタの中素敵なお話を紡いでくださりありがとうございます。スローでもよきよき♪待ってますので 憂さんのペースでどうぞ。いい子で次のお話待ってますね。 (2022年12月1日 9時) (レス) @page40 id: a88f73c135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂 | 作成日時：2022年11月4日 3時
