41．陰。 ページ41
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「バッカみたい。」
無意味に校庭の端っこの水飲み場まで来て、
コンクリートに打ち付けられる水道水を眺めながら、
先生と里香のふざけ合いが、頭の中で幻聴のように響いて。
あの二人からは見えない、校舎に陰った位置のここから、
結局自分は、先生にとって影のような存在なんじゃないかと考えを巡らせる。
いつもそばにいて、
離れることはなくても、
なにかしらの感情を向けられることもない。
べつに里香に嫉妬しているわけじゃなくて、
何かわからない、霧みたいな雲みたいな。
そんなものが心を鼠色に染めていく。
「辞めたい。」
好きって疲れる。
好きでいることを辞めたい。
里香はこれを楽しいと言うけれど、私はそんな風には思えないよ。
「気分わりい？」
声がする前の足音で、それが誰か分かるほど
先生を見ている自分が憎い。
ねえ、どうして追いかけてきたの。
「......大丈夫です。」
そういって壁にかけてた手を離した。
「顔色、よくないけど。」
「だいじょうっ......。」
足がもたついて、思わず先生に凭れてしまって。
「っぶね、熱中症？」
私の額に触れて、体温を確かめる先生の手。
触らないで。
触られたところが痛むから。
「躓いただけです。」
突き返すように、先生の腕を押しのけて。
「一人で戻れる？」
「戻れます。」
前は少し見せてくれていた悲しそうな表情もなくて。
なおさらむなしい。
そんで、
悲しい。
「よかった。」
ここで、歩けない、助けてと言ったほうが可愛げあるのはわかってるのに。
そんなこともできない自分に嫌気が差す。
「今日バイト？」
「はい。」
「ん、そか。おれ戻るわ。」
ぽっけに手を突っ込んで、猫背に校舎に向かう後ろ姿が、
好きで、憎たらしい。
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憂(プロフ) - みやさん» みやさん。コメントありがとうございます。こちらの私情であるにも関わらず応援して頂きまして、本当にありがとうございます。これからも先生と主人公ちゃんをよろしくお願い致します( •̥-•̥ ) (2022年12月1日 9時) (
レス) @page40 id: 39a6e0a5de (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 憂さん、はじめまして せつと申します。人生最大ゴタゴタの中素敵なお話を紡いでくださりありがとうございます。スローでもよきよき♪待ってますので 憂さんのペースでどうぞ。いい子で次のお話待ってますね。 (2022年12月1日 9時) (レス) @page40 id: a88f73c135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂 | 作成日時：2022年11月4日 3時
