＊完結＊《君が好き》【K.N】 (ページ7)

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「……はぁ」

「どしたの？ため息なんて珍しいじゃん」

「うそ、ため息ついてた？」

「うん笑」

無意識に出ていたため息を聞いてた潤くんが

オレの顔を覗き込んで、「大丈夫？」と言う。

その濃い顔の、本気の心配顔を眺めながら。

…そういえばこの人は俺らのこと知ってんのか

なんてのが、頭の中をよぎる。

幸か不幸か、他のメンバーは、いない。

「Aちゃんのこと？」

潤くんが、目線を今から収録する番組の台本に向けながら言う。

図星、だった。

「……いや違いますよ」

「フフッ図星かよ笑」

「いや違うってだから」

「いいから言ってみ？
なんか泣きそうな顔してるよニノ」

「え？俺が泣きそう？」

「うん。心がね、泣いてるよ」

「ふは、なんだそのポエム笑」

でも潤くんが言うと、そんなキザなセリフも似合ってるから怖い笑

「マジで言うとスッキリすることもあるよ」

「…ん。ありがと潤くん」

「いーえ。なんかあったらいつでも言って」

「おっ頼もしいですな笑」

「フフッまぁね笑」

こんなたわいもない、なんてことないやりとりがさ。

空っぽの俺の心を、満たしてく。

「そういえば、Aちゃんにグッズの話してくれた？」

「あー、したよ。わかったって」

「まじで？ありがてー！
あ、俺が感謝してるって伝えてもらえる？」

「ん、了解」

言いながら、俺は。

昨日のAの、あの行動を
頭の中で反芻させる。

まるで汚いものでも触れたみたいに手を離された瞬間

どうしようもない虚無感に襲われた。

目があったAの、罪悪感に満ちた目を見るのも嫌で

あの時は何でもないフリして笑ったけど。

ほんとはガラにもなく傷ついてた。

無意識、だったんだろ、Aはね。

でも俺にとっては、そうじゃなかったよ。

気にしてないフリして笑うのが精一杯で

その後のことは正直覚えてないし。

こんな一緒にいても、拒否られることってあんのね…

って、ちょっとおセンチな俺。

まぁ、一緒に住むようになっても顔をあわせることなんてあんまないけどさ。

でもなんか違うんだわ。アイツがいる家といないのとじゃ。

心が安心するっつーか、さ。

俺にとってAは。

メンバーと同じくらい大事な存在だから。

もう二度と傷つけないようにって

…そう、思ってたのに。

また傷つけることになるなんて

思ってなかったよ、俺も。