＊完結＊《君が好き》【K.N】 (ページ26)

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君が好きページ26

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初めてだったと思う。

和也から、私を好きだとか言うセリフを聞いたのは。

そんなの嘘だと、思った

だけど

信じてみたいとも、思った。

たとえまた、裏切られたとしても。

私だって和也が好きだったと泣きながら言えば

和也は私を抱きしめる腕を強くした。

背中に回るその腕は
あの頃より逞しくなっていて

男なのに華奢で
なんなら私より細いんじゃないかと思ってたけど

「…お前こんな細かった？」

「和也だって、こんな身体してたっけ？」

お互い顔を見合わせて、フフ、と吹き出す。

…こんなに、近くにいたのに

私たちは何も知らなかったんだなと。

唇が重なったら
どうしようもなく泣きたくなった。

あれから私たちは
幼馴染から恋人へと関係を変えた。

もう一度、高校時代からやり直そうって

和也の苦笑いを、私は一生忘れないと思う。

会ってなかった十数年を埋めようって約束を交わす

お互いが、お互いを好きだと思うと

まだ少し恥ずかしさが残るけれど

それでも和也との日々は幸せに過ぎていく。

「ね、もうちょっとこっち」

「やだよ暑いもん」

「いーから来いって」

「……もう」

和也は私を抱きしめて眠るようになって

私は和也の抱き枕状態で腕の中に収まるようになった。

まるで離さないとでも言うような
力強い腕の中で目を瞑ると

和也の、ふ、と空気が抜けるみたいな声がして
私の頬に軽いキス。

「…おやすみA」

「おやすみ、カズ」

一緒に住んでるんだから当たり前だけど
同じ匂いのする和也の服に顔を埋める

和也が私の頭をするん、と撫でて
そこに顎を置くみたいにしてギュってされると

十数年分の愛情を

和也から注がれてる気分になる。