これからのこと ページ23
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「話し合いがしたいの」
と。
Aが突然そう言った
「は？話し合い？」
「うん。和也の時間あるときでいいから」
「…わかった」
「よろしく。
じゃ、私もう行くから」
いつになく真面目な顔で話すAに
俺はなんて言やよかったんだろう。
こいつのこんな真面目な顔は
ガキの頃から一緒にいる俺でさえあんま見たことない。
何かといつもマイペースで、ちょっと不器用で。
あぁ、一回だけ見たな。
潤くんとグッズの打ち合わせしてるAのこと。
あのときはいつになく真面目な顔してたっけ。
行ってきます、って
こんなときでもちゃんと言うAを見送って
その言葉の意味を
考えなくても分かるのに、考えるフリをした。
話し合いの内容なんて、なんとなく分かる
これからのこと、に決まってんだそんなの。
迎えに来たコージの車に乗って目を瞑る
「おはようございます。寝不足ですか？」
「ん。ちょっとね…朝までゲームやってた」
「ほどほどにして下さいね
年末忙しくなりそうなんで」
「へいへい」
目を瞑ってたって
コージが呆れた顔をしてるのはわかる
仕方ないでしょうよ、そんなの。
趣味の時間まで決められる筋合いはねーよ
Aとの記事は、俺がいいって言ったのに事務所が揉み消して
その代わり、後輩のスキャンダルが表沙汰になった。
どうやらその後輩のドラマが始まるとやらで
注目度をあげたかったらしい。
笑えるよね
俺も後輩も
所詮、事務所の駒でしかないんだから。
まぁ、そのおかげでなんとか
Aも何も言わないでいてくれてるんだけどさ。
結局仕事が終わったのは夜も遅く
俺の時間あるときって言ってたAだって
今日はさすがに寝てると思ってた
でもそんな予想、こいつに通用するわけもなくて
「おかえり、カズ」
「…お、おぉ、ただいま」
いつも見慣れた部屋着じゃない
今からどこかに出掛けるんじゃねぇかってくらい普通のカッコしたAが
玄関で俺を出迎えた。
「寝てなかったんだ」
「うん。なんか眠れなくて」
普通、の会話なはずなのに
普通、じゃないこの状況
「…そ」
それなのに目の前のAだけが
いつも通りで
余計に不安を煽る
「カズご飯食べた？」
「うん。ケータリング」
「そっか」
これから何を言われるんだろうって
気が気じゃなかった
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作者名：くぅ。
| 作成日時：2016年9月18日 22時
