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連れてこられたラーメン屋さんは
和也のオススメらしい。
こんな店よく知ってるね、って言ったら
いつも収録の時出前とってるからって。
…まぁ、そうよね。
アンタが店の場所知ってるだけでも奇跡か。
どこでもどうぞ！と元気な大将に言われて、なるべく店の奥の、目立たない所に並んで座る。
お水を出してくれた奥さんに
和也が醤油ラーメンを二つ頼んでくれた。
「はいおまち！」
大将が、ドン！ドン！と私たちの前にラーメンを置く。
「おいしそーー！食べていい？」
「フ、笑 どーぞ？」
「いただきまーす……んん！おいしい！」
大好きな味だこれ！
おいしすぎて箸が止まらない！
「チャーシューいる？」
「うん！」
和也がヒョイ、と入れてきたチャーシューをモグモグ。
あー、美味しい。ずっと食べてられる。
最後の麺を啜って、スープまで飲み干しちゃった。
冗談抜きに、テイクアウトしたいくらい美味しいんだけど。
一言も喋らずに食べ終わり、和也が立ち上がる。
目があうと、帰るぞ。って言った。
「ごっそーさん」
「ごちそうさまでした！また来ます！」
「ありがとうございやしたー！」
元気のいい大将と、優しそうな奥さんに見送られて店を出る。
お代は、ね。もちろん奢ってもらった！
…と言いたいところだけど。
コイツが私のために財布を出すなんてあるわけなくて。
780円、キッチリ自分で払いましたよ。えぇ。
美味しいラーメンのおかげで満腹なお腹をさすりながら
近くの駐車場で待ってくれてたコージさんの車に乗り込む。
コージさん、が何者なのかは
やっぱり怖くて聞き出せないままだ。
和也の家を出るときも、私の家からここに来るときも。
和也の言葉に、「はい」としか言わなくて
私のこととか、(強制的にだけど)一緒に住んでることとかには
何も触れてこないから
逆に気を使うというか。
完全アウェーな私がいてもいいのかな、って不安になってても
和也はそれが当たり前みたいにゲームしてるし。
「オレん家向かって」
私たちが乗り込んですぐ、エンジンをかけたコージさんに和也が言う。
まるで彼を召使いのように扱ってるこいつの態度…
怖くて話しかけられないけど、心の中でスミマセンと謝った。
「はい」
それなのにコージさんは、やっぱり文句も言わず車を走らせる。
誰も喋りらない気まずい空気のまま、和也の家に着いた。
…もう、戻れない。
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作者名：くぅ。
| 作成日時：2016年9月18日 22時
