君と描く物語-番外編-

＃９ ページ9

天元｢A…この辺りでいいよ｣

家を出て十分程…
宇髄先生が足を止めて私にそう言った

A｢え…でも、もう少しだけ……｣

天元｢さっきもそう言って距離伸ばしたじゃねぇか…もう遅い時間なんだし、な？｣

A｢…………はい…｣ｼｭﾝｯ

久しぶりに先生を近く感じれて、それが嬉しくて…
後少し…もう少しだけ……と、離れ難くて仕方ない

でも、先生が心配してくれる気持ちもわかるから

A｢じゃあ…先生、気を付けて帰って下さいね｣

天元｢あぁ、Aも……家に着いたら連絡する｣ｽｯ

先生の暖かい手が私の頭を撫でて別れを告げる
大好きな手と…大好きなその笑顔……

まだ夢みたいだけど、夢じゃない
私達、また恋人に戻れたんだ


宇髄先生の背中を見送りながら、まだ少しふわふわとする気持ちを握り締めて…私も家の方へと振り返り歩き始めた

すると……

天元｢……A！｣

A｢…！？｣ﾊﾞｯ

名前を呼ばれて振り向くと、その瞬間


ｷﾞｭｯ

A｢…っ///｣

天元｢やっぱ最後に……ちょっとだけ…｣

消えそうな…絞り出す様な声でそう言いながら、先生はその暖かくて大きな腕で私を包み込んでくれた


…あぁ……やっぱり離れ難い

A｢…先生、今日は本当にありがとうございました

私…幸せ過ぎて、まだ夢見てるんじゃないかって…｣ｷﾞｭｯ

天元｢夢なんかじゃない……これからはずっと一緒だ…

離れて暮らしてたって、会えない時間が長くなったって
ずっと心の中ではいつもAの事を想ってる

それに、そんな大した距離じゃない…会いたくなったらいつでも帰って来い…俺も会いに行くから｣

A｢はい……っ///｣

先生の温もりが、私を抱きしめる腕の力強さが……声色が…その全てが私を大切だと伝えてくれている

それと同じ様に、私の先生を抱きしめる手が…温もりが…大好きって気持ちを伝えてくれていますように…


天元｢二度も俺を選んでくれてありがとう…｣

A｢……私の方こそ、ずっと信じて傍に居てくれてありがとうございました…っ｣ｷﾞｭｯ


人生において、近道などは無いんだろう…
歩んで来た道は、真っ直ぐなようで…曲がりくねっていて……沢山躓いて立ち止まって来たけど

今こんなに幸せを感じられるのは、きっとそのどの時が欠けても辿り着けなかった想いで


天元｢遠回りした分、目一杯幸せになろうな…！｣

A｢…はいっ｣

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