君と描く物語-番外編-

＃４８ ページ48

[episode6:再会]

｢苦しい所は無いですか？｣

A｢はい、大丈夫です｣

｢良かったです。それでは、これでお支度終了です｣

A｢ありがとうございます！｣

何重にも重ねた長襦袢や着物
腰周りを引き締めてくれる帯は、背中の部分で大きな花を咲かせる様に結ばれていて一層華やかさを演出してくれている

全身鏡の前でくるんと回りながら、普段と違う姿の自分に心が踊る

母｢よく似合っているわ、A｣

A｢ありがとう///｣

そう……今日は成人式
この為に正月からずっと実家に帰って来て準備をしていた

午前中は地元の中学で式典があり、その後は高校に集まって成人を祝う会に参加する予定で
カナヲはもう暫くしたら落ち合うけど、天元さんや他の皆ともそこで会う約束をしている

ｶﾞﾁｬ

父｢…！おぉ…綺麗だな｣

A｢えへへ…/// お姉ちゃんとお母さんと同じ振袖が着れて凄く嬉しい｣

母｢まさか二人とも私の振袖を選んでくれるなんて思わなかったわ…ありがとう｣

成人式が近付き、振袖をどうするかって話になった時
私用に購入するって言う話も出たんだけど…姉は母の振袖を着て成人式に行ったって聞いて、私もそうしたくなった

A｢だって、こんな素敵な振袖だもん…それに、どう頑張ったって二十歳の時のお母さんには会う事は出来ないけど
これを着たら、何だかその時のお母さんになれてるような気がして

お母さんは、小さい頃からの私の憧れの女性だから…///｣

母｢A…｣ｸﾞｽｯ

父｢うん…Aも蜜璃も、若い頃の母さんそっくりだからな

それに、きっとこれからもなれるさ…Aだって母さんに負けないくらい素敵な女性なんだから｣

A｢ありがとう、お父さん…っ｣



A｢それじゃ、行ってきます！｣

母｢ご飯用意して待ってるから…気を付けてね｣

出発の時刻が早く、冬休み真っ只中の弟達はまだ夢の中で
両親だけで見送りをしてくれた

慣れない草履の為、少し余裕を持って家を出たつもりだったけど

A｢…あれ、カナヲ…！早かったね｣

カナヲ｢A！わぁ…蜜璃さんの結婚式の時とは違う振袖？

前のも似合ってたけど、それもとっても素敵だね｣

A｢ありがとう！式の時は会場でレンタルしたけど、これは母の振袖なの…カナヲも素敵な振袖だね｣

カナヲ｢ありがと…/// 私も姉さん達の振袖を借りたんだ｣

お互い家族の振袖で今日が迎えられて嬉しいな…

A｢じゃあ行こうか｣

カナヲ｢うん！｣

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