君と描く物語-番外編-

＃４７ ページ47

そしてあの一件から数ヶ月が経った頃…
本日は改めて、のんびりと天元さんの部屋で二人の時間を過ごしています

天元｢この前の休み、久々に一個下の弟と話したよ｣

A｢…！もしかして雛鶴さんの旦那さんの…？｣

確か、一番 お父様に似てて…反りが合わないって前に話してくれた兄弟の方…

天元｢そ。俺の代わりに跡継ぎになってくれた事、ずっと正面切って話せてなかったからさ…｣

A｢弟さんは何て…？｣

天元｢ん…別に謝られる筋合いは無ぇって言われた。跡を継ぐのは自分で決めた事だから…って｣

A｢…そうだったんですね｣

天元｢その言葉聞けて、なんか思ってたよりも胸のつっかえが取れたっつーか…自分が思ってたよりもずっと気にしてたのかもなって自覚した

あのお見合いを断った時も、縁切られる覚悟はしてたし…完全に愛想尽かされただろうなって思ってたんだけど

それでも、俺が家の決まりを突っぱねる事で…少しでも下の弟妹達に自由な選択肢が増えればって思ったんだよ

兄弟の頭の俺が突破口になって、古くからの風習なんてクソ喰らえだ…って皆が思えればいいなって……
今思えば、独りよがりにも程が有るし…ヒーロー気取りかよって感じだけど

でも結果的に、弟が俺の代わりに家を継ぐ事になって…その相手に雛鶴が選ばれたって聞いた時は
結局 俺があの場から逃げ出しただけで、何も変えられなかったんだって情けなさも感じたりして…

でも……俺が思ってるよりは、親父は俺達と向き合おうとしてくれてたってのも分かったし
弟にも恨まれてんだろうなーって思ってたけど、俺が思ってる以上に仕事に対して真剣に向き合ってたし

やっぱり……ちゃんと話してみないと分かんないもんだよな｣

本当に良かった…

あんなにも家族と分かり合う事を諦めていた天元さんから、その言葉が聞けた事が私は嬉しくて仕方なかった

天元｢まぁ…どれもこれも、Aがそう気付かせてくれたお陰なんだよな｣

A｢え……私は何も…っ｣

天元｢何もって事はねぇだろ？本当に感謝してんだぜ

……あ、それから…親父と顔合わせる度に『次はいつAを連れて来るんだ？』『早く籍を入れんと逃げられるぞ』っつってうるせぇんだけど｣

A｢…！？///｣

天元｢親共々、随分気に入られちまったな｣ｸｽｯ

A｢嬉しいやら恥ずかしいやら…///｣

天元｢素直に喜んどきゃいいんじゃね？｣

A｢…ふふ、そうですね｣ﾆｺｯ

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