君いる所は雨降る (ページ5)

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桜雨ページ5

ただただ雨だけしか降っていない世界

周りは真っ暗

それでも構わず進む

『晴れ』を探して

いつも雨が降っていて晴れなんて見たことがない

俺がいると皆が悲しむ

だから…いつも1人

俺は車と大きな音が苦手

なんでかはわからない

記憶の片隅に車のヘッドライトで視界が真っ白になって、大きなクラクションの音が間近に迫ってくるものがある

それのせいなのかな…

その日も雨だったな

しばらく歩いていると晴れを見つけた

その後をついていく

晴れはどこか大きなところに入っていった

ぼぉっと見ていると、体が勝手に動いて入り口にあった何かを押す

ピンポーンと大きな音がなった

あまりの大きさにびっくりして声が出なくなる

入り口が開いてひょっこりと顔が出された

あぁ…何か喋らなくちゃ

だけど、喋れない

息が詰まってきて、意識が途絶えた

「んぁ…」

無意識に声が洩れて目を覚ますと明るい光が目に入る

眩しくて目を細めているとあの顔が目に入った

彼は…俺のことを軽蔑しなかった

親切にしてくれた

本当なら侑李が来なかったらもっといたかった

侑李「…仲良くしようと思っちゃダメ」

帰り道、侑李が俺の気持ちを悟ったみたいに言う

侑李「人間と仲良くしようと思っちゃダメ。

僕らが生きているほんの少ししか生きてないのに全てを知っているように言ってるんだから」

「智洋は…どうなの？」

侑李「智洋には記憶がある、僕たちにはない。

それが圧倒的奈違い」

「侑李は、記憶あったら仲良くする？」

侑李は黙ってしまった

悩んでるんだ

そのまま何も話さなくなっていつもの場所にたどり着いた

侑李「また明日ね」

「うん」

侑李は羽根が十分に乾いたのか飛んで帰った

そっと座って名前を呟く

「ゆ、うと…」

裕翔の顔を見てから胸がおかしい

キューっとなって、バクバクして、苦しい

なんかの病気なのかな？

病気だったら嫌だな

明日もこの調子だったら侑李に相談しよう

そう思って今日もフカフカの中に入る

そしてゆっくりと目を瞑った